商品券問題で、ポスト石破候補も身動き取れず?

また、商品券問題を受けたポスト石破候補の動きも目立ったものはない。

小泉進次郎元環境相は「自分たちが選んだ人を苦しいときも支える組織だったら、少しは信頼回復のきっかけをつかめるのでは」と発言し、あくまでも石破首相の続投を支持する考えを示している。

ポスト石破候補としても、参院選前に首相になったところで、参院選は厳しい戦いとなり求心力が低下する可能性は高いため、そこまでは石破首相に戦ってもらい、責任をとってもらうのが得策という考えだ。

さらに「もし今、石破首相が退陣して総裁選が行なわれても、ポスト石破候補も『商品券を贈ったことやもらったことがないか』と追及されてしまう」(自民党関係者)という事情もある。

小泉進次郎氏(本人Facebookより)
小泉進次郎氏(本人Facebookより)

そして自民党全体が裏金問題に加え、商品券問題でさらなるダメージを負ったことで、ポスト石破レースはますます混沌としてきた。

高市早苗前経済安保相はタカ派色が強く、安倍派議員すら「主張についていけない」とこぼす。ただでさえ穏健保守の支持を国民民主党に奪われつつあるなか、参院選で広い支持を集めにくい高市氏を担ぐことは難しい、というのだ。

そして林芳正官房長官は実務能力に定評があり「ピンチヒッター」としての呼び声が高いが、「今回、商品券の原資となった可能性が指摘されている官房機密費は、官房長官が管理する。しばらくは『商品券の原資として官房機密費を使うことを了承していたのでは』と言われてしまう」(自民党関係者)という課題を抱える。

林芳正官房長官(本人公式Xより)
林芳正官房長官(本人公式Xより)

ほかにも、自民党のイメージを一新するなら小林鷹之元経済安保相や小泉元環境相もポスト石破候補として名前が挙がるが、「重要閣僚や党幹部の経験がほぼなく、少数与党として野党とうまく向き合い、駆け引きできるかが微妙。

石破首相が、気脈を通じる維新の前原誠司共同代表と話し、予算案の賛成を取り付けたような動きは難しいだろう」(同前)とされている。 

衆議院予算委員会で質疑に立つ前原誠司氏(本人Xより)
衆議院予算委員会で質疑に立つ前原誠司氏(本人Xより)

また、国民世論も石破首相の交代まで求めているとは言い難い。

朝日新聞の世論調査では、商品券問題を受けた石破首相の辞任について「必要ない」とする声が60%。内閣支持率は政権の危険水域とされる30%を割り込み26%に急落しているものの、辞任を求める声が強まっていない背景には、「誰が首相になっても同じ」というあきらめや、政治不信があるとみられる。

昨年9月の自民党総裁選挙。候補者所見発表演説会での石破茂氏(本人公式Xより)
昨年9月の自民党総裁選挙。候補者所見発表演説会での石破茂氏(本人公式Xより)
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「ケチ」と言われ続けてきた評判を払拭したいがためにとった行動の代償は大きかった石破首相。

延命はできても、それは「ほかに適任がいない」という「消去法」によるもので、夏には参院選の厳しい結果の責任をとることになるのだろうか。 

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班