それでも東京を修学旅行先から変えられない理由

では、同じく観光客数が増加している東京を修学旅行先に選んでいる学校はどうなのだろうか。中部地方の現役小学校教諭に話を聞いた。

「旅行先を東京から変更するという案は、私の学校でも周りの学校でもあまり話は聞きませんね。まず修学旅行の目的として、政治や経済の中心である日本の首都・東京を見学し、肌で感じることがあげられるので、、東京は選択肢からなかなか外せないかと。

また、外国人観光客の存在自体はむしろプラスに考えられていて、日本には外国人から見て魅力ある観光地があることを、生徒が身をもって体感できる要因になります。電車や観光地で外国人から声を掛けられた際、外国語の学習が生かされることもあるかもしれません」(中部地方・小学校教諭、以下同)

平日でも人でごった返している浅草(撮影/集英社オンライン編集部)
平日でも人でごった返している浅草(撮影/集英社オンライン編集部)

ただ、旅行先は変えずとも時期をズラすという案は出ているという。全国的に5月と11月が小中学校の修学旅行のピークのため、バスの運転手の確保と新幹線の予約がかなり難しくなっているそうだ。

「修学旅行の予定は一度決めたら変更がほぼできないので、来年からすぐに変更とはいきませんが、2、3年後には大きく変わっている可能性はあるでしょうね。ちょうど、去年頃から法律でバス運転手の拘束時間の制限が厳しくなり、移動の利便性と荷物の運搬を兼ねて長時間活用していたバスが使いづらくなりました。

お土産を買うと帰りは荷物が多くなるので、これまでは行きは新幹線、帰りはバスというかたちをとっていましたが、11月は高速道路の集中工事の時期と被っていて渋滞にハマってしまい、帰校時刻が遅れることが多いです。これによって、運転手の拘束時間の問題で追加料金が発生するケースもあるため、時期の変更は検討されています」