弾劾審判は8対0の「全員一致」で罷免も

現在、韓国では大統領罷免をめぐって賛成派と反対派が激しく対立しており、憲法裁判所の結論がどちらに転んでも判決を不服とする側が抗議行動に出ることが予想される。

2017年の朴クネ大統領弾劾決定時にも朴ク支持のデモ隊が警察と衝突し、4人もの死者が出てしまった。

弾劾審判後の混乱を考えれば、8人の裁判官は全員一致による評決を下そうと努力するはずだ。5対3や6対2など、評決が割れた状態では憲法裁判所の判断も2分されているとして、判決不服従の動きが出てもおかしくない。

実際、弾劾反対派の一部は罷免判決が下れば、憲法裁判所を襲撃すると予告している。そのため、国論2分の状態を解消するために「弾劾裁判は8対0の全員一致」、しかもその場合は「違憲は明白であり、罷免適当」の結論となる可能性が高い。

今年1月、ソウルではデモ隊が尹錫悦大統領の逮捕を要求
今年1月、ソウルではデモ隊が尹錫悦大統領の逮捕を要求

とはいえ、3月8日には逮捕から52日ぶりに尹大統領が釈放されるというサプライズも起きている。「これまで日数で計算してきた拘留期限を時間計算すると、起訴は拘留期限後に行われており、不法。すぐに釈放すべき」という尹大統領側の主張がまかり通ったためだ。

拘留期限の日数計算は刑事訴訟法にも明記されており、70年以上も続いてきた法慣例だった。それがあっさりと時間計算へとひっくり返ったというわけだ。しかも、検察は時間計算を尹大統領だけに適用し、他の被疑者に対しては従来通りに日数計算で対応すると宣言している。完全な大統領特恵、ダブルスタンダードだ。

だが、1度あることは2度あってもおかしくない。依然として強大な尹大統領の政治的影響力を考えれば、「8対0の全員一致で罷免決定」という大方の予測がひっくり返り、52日ぶりの釈放劇に続いて弾劾棄却、大統領職務復帰というサプライズが繰り返される可能性も、否定することはできない。