「早く来た順で席に座れるんですよ」

蜷川監督との出会いをきっかけに演技の楽しさを見出し、俳優活動が本格化していく。

2005年には人気学園ドラマ『ごくせん』(第2シーズン)(’05年)への出演が決まった。当時の気持ちを鮮明に覚えているそうで。

「ごくせんは、『なにくそ!』って気持ちでやってましたね。メインの生徒役が5人いるんですけど、僕はその他の生徒役だった。

亀梨くん、赤西くんがメインで、プラス何人かいてみたいな。(※当時、脇を固めたのは小出恵介、小池徹平、速水もこみち)

ごくせんの撮影現場はもうすごい格差社会なんですよ(笑)。移動もメインの5人は専用の車、その他の生徒はマイクロバスで、みたいな。

基本的に仲はいいし、喧嘩もないけど、メインの生徒役に対して『将来、見返してやろうな』っていつもみんなで話してましたから。いい意味でライバル心がありましたね」

川村陽介 (撮影/矢島泰輔)
川村陽介 (撮影/矢島泰輔)
すべての画像を見る

悔しさを抱えながらも、仲間と切磋琢磨しながら演技に向き合う。しかし、セリフがあるのはメインの生徒5人だけ。その他の生徒にはセリフがないため、彼らの後ろに写り込み、いかに目立つかを競い合ったとか。

「当日現場に来たら台本を見てカット割りを確認するんです。教室のシーンはメインの生徒役以外、ひとりひとりの席が決まっていないから、早く来た順で席に座れるんですよ。

普通の学園ドラマは大抵席が決まってるけど、ごくせんはヤンキーの教室なのでぐちゃぐちゃ。机と椅子がちゃんと整列されていないっていう。

そこでメインの『抜け』。つまり、カメラが向いている方向のバックグラウンドをみんなで取り合っていました。

次のシーンでこいつが喋るからここに入ってアドリブでセリフを言おう!って感じで。短い時間でいかに目立てるかが勝負でした」