「ランキングで上位に入れてしまうと、シャチへ恐怖心を抱く子もいる」
——大人もそれだけ熱を入れて結果を決めているとなると、子どもたちからの問い合わせも多いのでは?
そうですね。「サメ(メガロドン)がシャチに負けるはずがない!と息子が納得しない」と保護者から電話をもらったことも多いです。
「シャチには肋骨がありますが、サメは軟骨魚類で内臓が剥き出しなので腹部への体当たりに弱い」と伝えても、後ろで子どもの泣き声がずっと聞こえていました。
だけど、それだけ夢中になってもらえるのは本当にありがたいことです。
ほかに人気のサメ以外で、よく問い合わせをいただくのはパラメーターに関わるものですね。たとえば、パラメーターではシャチは凶暴性や攻撃力が高いのに「なぜ凶暴性ランキングのトップ3に入っていないのか」というものとか。
実は、見た目にはほとんど変わりがないのですが、シャチは厳密には3種類いるんです。戦いでは最も凶暴な種類をチョイスしていますが、一番温厚な種類のシャチは水族館にいて、触れ合うこともできる。
なので、凶暴性ランキングで上位に入れてしまうと、シャチへ恐怖心を抱く子もいるでしょう。いたずらに怖がり、シャチと関わる機会を奪いたくなかったので凶暴性ランキングからは外しました。
——目黒さんの動物愛を感じます。
やはり好きなもの、気に入っているものがあると、救われることがあるんですよ。
まさに今日なんて「アニメ『最強王図鑑』を見てからでないと出かけない!』と言っている、こだわりが強い子どもへの悩みを抱えた保護者からの問い合わせがありました。
私自身も「この靴なら学校へ行かない」など、こだわりの強い子ども時代があったことから感じるものがあり、「僕も同じような性格でした。もしかしたら、『最強王図鑑』のような本を作る大人になるかもしれませんよ」と、そんな言葉をかけさせてもらいました。
目黒少年時代を振り返り思うのは、持っているこだわりはどうにもならない、ということです。
「直しなさい」「学校へ行きなさい」と無理強いするのではなく、好きなもの、気に入っているものがあるのなら、そこに向き合う時間として受け入れることで開ける未来もあるかもしれません。
——『最強王図鑑』が好きで、夢中で読んでいた際に「友達に話しかけてもらえた」という声もあるそうですね。
「どのバトルが好き?」「どっちが勝つと思う?」と話すことで友だちや親子でコミュニケーションを育むきっかけになってほしい。そんな思いが『最強王図鑑』を作った根底にはあります。
そんなきっかけをたくさん作りたくて、最近はアクリルキーホルダーを作りました。カバンにつけることで「君も『最強王図鑑』が好きなの?」と会話が弾んでもらえたら、嬉しいですね!
取材・文/山田千穂 集英社オンライン編集部ニュース班