はちみつとビタミンCは同じ武器を手にウイルスやがん細胞をやっつける
はちみつとビタミンCの美味しくて簡単な組み合わせ方の話に入る前に、ビタミンCのすばらしいパワーについて、ちょっとばかり突っ込んだ話を、もう少しだけさせてほしい。
はちみつに対する新しい興味を頭の隅に置きながら、いざ改めて最近のビタミンC関連の資料を当たってみると、またずいぶんと面白いことがわかってきた。
1994年にポーリング博士が93歳で亡くなって以降も、ビタミンCに関しては、さまざまな研究、議論や論争が続いている。一時期など、「ビタミンCが風邪やがんに効くということがはっきり証明できるわけではない」と、ビタミンCの効き目自体を疑問視する風潮まであったのだ。
けれど長い経緯を端折って言うと、2005年にある画期的な研究論文*1が発表されて、「ビタミンCはがんに効く」というポーリング博士の主張がやはり正しかったことが明らかになった。
その内容は、高濃度のビタミンCが、がん細胞だけを殺し、正常細胞にはダメージを与えないという「仕組み」をはっきりと説明し、それを証明するものだったから、実際、この論文をきっかけに、ビタミンCの高濃度点滴や経口投与を、本格的にがん治療に使って効果をあげるお医者さんは続々と増え、アメリカでは今では1万人にもなったのだと言う。
で、その論文のキモの部分なのだが、ビタミンCの抗がん作用は、ビタミンCが血管内で作り出す「過酸化水素」によるのだと言う。過酸化水素は強い酸化作用によってがん細胞を殺す働きをするが、正常な細胞内では生体の酵素が過酸化水素を分解するため、健康な細胞は無傷でいられる、というのだ。
はちみつオタクにとっては、「過酸化水素」とは、はちみつの抗菌殺菌作用に関わる大事な成分。耳にすればピピッと反応するキーワードなのだ。
インフルエンザウイルスや胃がんのピロリ菌、虫歯のミュータンス菌、にきびのアクネ菌そのほか悪玉菌に対しては、はちみつも強力な殺傷剤「過酸化水素」でやっつける。だけど、はちみつが発生させる過酸化水素が、健康な細胞や正常な善玉常在菌を傷つけることはない。
その場面を想像してみると、これってまるで、邪悪な菌の軍団に対してはちみつとビタミンCが、同じすごい威力の秘密兵器を使うみたいな、胸のすくヒーロー物の世界ではありませんか。