消すことでプラスになってくれたら嬉しい
とはいえ、除去の過程に希望を見出していく人たちも多い。
「5回、6回と、治療を重ねた方が『この前、やっと温泉に行けたんですよ』なんて話してくださったり。
うちでは、治療が終わることを『卒業』と言っているんですが、『夏までには子どもとプールに行けるようにしたい』といった目標を持っていた方が、治療を終えて『卒業できました』と言ってくださったことがあります。少しは社会貢献できたかな、と」
以前より敷居が低くなったとはいえ、「タトゥーを入れている」ということは、日本の社会通念的にはまだ認められづらいのは事実だ。
道徳観をふりかざすわけではなく、「その人のその後の人生のために、どうきれいに消すか」が目的である、めかた院長の存在は大きい。
彼は「卒業」した人たちに、こんな言葉を送る。
「せっかく安くはない費用と痛みを乗り越えて手に入れた結果なので、それが少しでも人生のプラスになってくれたら嬉しいです」
PROFILE●めかた啓介 1973年、東京生まれ。キルシェクリニック院長。美容外科医、美容皮膚科医、麻酔科専門医、麻酔科指導医。1999年、産業医科大学医学部卒業。麻酔科医・救命救急医として12年勤務後、美容外科医・美容皮膚科医として複数のクリニックグループにて院長を歴任。20000件以上手掛けているタトゥー除去治療のほか、脂肪吸引、麻酔施術にも定評がある。医師免許のほかに行政書士、測量士補、宅地建物取引士、FP、JAF国内A級ライセンスなど、さまざまな資格も所有する。
取材・文/木原みぎわ