「曲は最初から最後までで1つのもの」

現在50歳の筆者は当時放送されていた斉藤のラジオ番組を聴いていた世代だ。

その番組内で、「歌は1番(の歌詞)だけでなく、2番、そして(一曲通して)最後まで含めて世界観を伝えているのに、テレビ番組では2番が歌えない」と語っていたのを強烈に覚えている。

その発言から、斉藤は「歌に並々ならぬ思い入れがある人」という印象をもっていたため、今回の「歌手活動に違和感があった」という発言は驚きだった。

「もう本当にその通りでしたね。そして、それはずっと変わらずに今も心に思っています。

曲は最初から最後までで1つのもの。3〜4分という短い時間ですけど、その間に1つの物語を表現する、演じるっていう感覚です。

というか、そもそも私がそんなに歌が上手じゃないから(笑)、自分で納得して、なにかしらの自信を持ってマイクの前に立とうと。ただ、自信を持ってマイクの前に立てることもあまりないんですけど(笑)」

 『週刊明星』昭和62年11月12日号より 撮影/ 青柳宏伸
 『週刊明星』昭和62年11月12日号より 撮影/ 青柳宏伸

そう笑う斉藤だが、当時からコンサートという場には楽しみを感じていたと振り返る。 

「コンサートって、看板としては自分のみ。そこで2時間なら2時間のショーを、自分も意見を出しながら、1つの物語として起承転結や世界観を作れます。 

お題目はアイドル歌手でしたけど、それでもとてもやりがいがあったし、楽しかった記憶がありますね」