検索ワードの最上位は「こんまり 夫 ヒモ」
ぶっちゃけ言わせてもらうと、僕は婚活市場において麻理恵さんに似つかわしくないステータスでした。30歳会社員。6年の会社勤めで月収はほどほど。将来的にも大きく収入アップが見込めているわけでもない。
身長は174センチ。まぁ普通。顔は……好みによるでしょうからこれ以上の言及はやめてください。正直、ステータスだけで考えると、優良物件というわけではないと思います。
それこそ当時の麻理恵さんはすでに100万部を超えるベストセラー本を書き、テレビにも引っ張りダコ。しかも特技は片づけときたら、もはや究極形なんじゃないかというぐらい結婚にむいている生き物です。
にもかかわらず、僕を選んだ。その当時だけで言うならば完全なる格差婚です。学生時代からの知り合いだったとは言え、当時からつき合っていたというわけでもなく、知り合ってからの9年の距離感は近からず遠からず。
いまでも覚えている、当時ショックだったことがあります。結婚を決め、少しだけメディアに取り上げられていた時期があります。「近藤麻理恵、結婚!」みたいな。そのときの僕についての検索ワードの最上位は「こんまり 夫 ヒモ」です。いまでは笑い話になっていますが、その当時はそれなりにショックを受けました。
話を戻しますが、かつて「社会に出たら適齢期で結婚をして子どもをもうける」というのが既定路線でした。それが社会通念のように幅を利かせていた。
ですから、独身のまま20代後半、30代に突入すると、親や親戚から「結婚はまだか」「孫の顔が見たい」とせがまれる。顔を見るたびにうるさいなーみたいな世界観です。ひと昔前のホームドラマなんかを見ると決まってそんなシーンが出てきます。
でも、現代はそうではありません。ライフスタイルが多様化し、独り身で生きる人もたくさんいます。結婚しないことに引け目を感じる必要は相対的には減ったのだと思います。
たとえば、フランスのように事実婚がメインの国もあったりする。価値観はところ変われば変わるものです。人には向き不向きもある。いわゆる普通の結婚生活が向いている人もいれば、そうでない人もいるのは、本来は当然のことです。
夫婦とは言っても、もとは赤の他人。「外の価値」だけでずっと仲良くいられるほど甘くない気がします。だって、かなりの長い時間をともに過ごすことになるわけですから。外見のためだけに選んだ人とそんなに長く過ごすなんて、そんな人生にしたいですか?
必要のない見栄やこだわりは捨てましょう。あまり意味を持たない無理な婚活も捨てる。なんなら結婚も捨てる。
気負わず、身軽に。自分の幸せにもっともっと素直になっていいのです。
文/川原卓巳 写真/shutterstock