企業の表現もまた尊重されるべき

最近これと近しいことがあったのは、回転寿司チェーン「スシロー」だろう。笑福亭鶴瓶をイメージキャラクターに起用していたが、中居正広氏とのバーベキュー会が週刊誌で報じられたところ、“お客さまからさまざまな声をいただいて総合的に判断した”との理由で、鶴瓶に関するコンテンツをサイトから削除したのだ。

すると今度は、「過剰反応すぎるのでは?」という批判の声が世間で多くあがり、鶴瓶のコンテンツを復活させることに。さらにこのとき、一度削除してしまったことを謝罪していた。

ネット炎上を恐れすぎている?(画像/Shutterstock)
ネット炎上を恐れすぎている?(画像/Shutterstock)

「今回の赤いきつねバッシングでは、『あのCMは性的』とか『気持ち悪い』といった批判がありましたが、それは単に個人の解釈であり、好きキライでしかありません。『性的ではない』と感じた人たちの気持ちも、同じように尊重されるべきなので、違法性のない表現をあえて自粛する必要はないでしょう。

こうしたCM表現で売り上げが伸びても落ちても、全ては企業側の責任でやっているわけですから、本来は外野がアレコレ指図するものでもありません。CM表現も“表現の自由”という側面もあり、それは誰かの“嫌い”“見たくない”という気持ちと同じく尊重されるものです」

しかしそれでも企業からすると、炎上は絶対に避けたいことだろう。だが、企業に対する批判の中には、単なる「嫌い」を「間違っている」に履き違えて攻撃してくるものも多く、どれだけ真っ当な企業活動をしていても、ネット炎上に巻き込まれる可能性は常にある。

そこで重要になってくるのが、「この表現、この施策にはクレームが入りそうだけど、我々は問題ないと考えている。ではもし炎上したらどう対処するか、先に決めておこう」という事前の意志決定と、そうした反響をあらかじめある程度予測しておくことだ。