負担となる「再配達」。削減のためには、消費者の行動変容が必須
ドライバー不足が深刻化する中で、「再配達」は運送業者にとって非常に大きな負担となっている。
国土交通省が2024年12月に公表したデータによると、昨年10月の宅配便再配達率は約10.2%。政府が取りまとめた「物流革新に向けた政策パッケージ」では令和6年度までに再配達率を6%に削減することが目標とされていたが、依然として高い水準となっている(*4)
再配達削減など、ドライバーの負担を軽減させる消費者一人ひとりの協力が不可欠であり、置き配は有効な手段とされている。国や自治体も置き配や宅配ボックスの利用促進に取り組んでいるが、消費者の行動変容を促すには難しい部分もあるだろう。
東京都の物流効率化に携わる都市整備局 都市基盤部 物流調査担当課長の岡本健一氏に、どのような施策が考えられるのか聞いてみると、次のように答えてくれた。
「まずは、現在の物流の状況や再配達削減につながる取り組みを知ってもらうことが、重要と考えています。通販利用時に日時指定や自分にあった受け取り方を指定するだけで、手間をかけずに1回で荷物を受け取れ、それが再配達削減になる、ということを理解してもらえれば、『物流事業者に協力する』という行動変容につながると思うんです。
実際にアンケート調査を行ったところ、『物流の2024年問題』に対し、報道機関で大きく取り上げられたこともあると思いますが、『受け取りの日時を指定するようになった』『置き配を利用するようになった』と再配達削減を心がけるようになったという方も多くいらっしゃいました。引き続き、物流効率化に向けて、現状や協力してもらいたい取り組みについて、都民の皆様へしっかり伝えていきたいと考えています」
![東京都が調査した宅配便の利用等に関するアンケート。【再配達削減に向けた行動】の結果では、「物流の2024年問題」に対する消費者の意識変化が見て取れる(「令和6年度第5回インターネット都政モニターアンケート結果」より抜粋)](https://shuon.ismcdn.jp/mwimgs/5/3/600mw/img_53a64ef50b50e196c021749bb6847e1939569.jpg)
物流業界の逼迫は深刻で、企業や自治体も効率化に向けた対策を進めている。しかし、それだけでは解決しない課題も多い。消費者も、確実に受け取れる日時の指定や置き配の活用、AmazonなどのECサイトでも導入が始まっている“ゆっくり便”サービスの選択など、小さな工夫を積み重ねることが重要になってくる。
まずは、物流の課題を「自分ごと」として捉え、できることから始めてみてはどうだろうか。
(*1)国土交通省|持続可能な物流の実現に向けた検討会 最終取りまとめ
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001626756.pdf
(*2)公益社団法人宮城県トラック協会|物流の2024年問題に関するアンケート調査結果について
https://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/mg/kyg_17%20(13).pdf
(*3)国民生活センター|ウェブ版 国民生活「物流2024年問題と消費者」(2023)https://www.kokusen.go.jp/pdf_dl/wko/wko-202311.pdf
(*4)我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議|「物流革新に向けた政策パッケージ」のポイント
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/pdf/20231226_1.pdf
取材・文・撮影/毛内達大