「楽しい日本」が総スカンで、「楽しくない」石破氏
「毎日苦虫をかみつぶすよう(な顔)では、楽しい日本はつくれません」「総理は重責の中でも毎日を楽しんでいますか」(れいわ新選組・山本太郎代表)
「苦虫をかみつぶしたような顔というのは、なるたけしなければいいなと思いますので、ご指摘を踏まえて改善に努力してまいりたい」(石破茂首相)
29日、参院の代表質問で、こんなやり取りがあった。楽しくなさそうな石破首相の答弁に、議員席からは思わず笑いが漏れた。
こうしたやり取りが繰り広げられたのは、石破首相が通常国会召集日の24日に行なった施政方針演説で、これから目指すべき国家像として、一人ひとりが自己実現を図っていける「楽しい日本」を掲げたからだ。
そのために地方創生を核とする「令和の日本列島改造」に意欲を見せたのだが、実際のところ石破首相本人は……。
「党内に味方もほとんどおらず相変わらずお疲れモード。議員会館に行ってタバコ休憩をするのが、数少ない息抜きのようです。『楽しい日本』をつくると言いながら、本人はまったく楽しくなさそうです」(官邸関係者)
「楽しい日本」には自民党内からも「言葉のチョイスがのんきすぎる」とあきれる声も出た。
「いまだに裏金問題が尾を引いていて、夏の参院選では自分たちの地元の議員が落ちるんじゃないかと戦々恐々。そんな中で自民党のトップに『楽しい日本』と言われてもねえ」(地方の自民議員)
150日間続く通常国会では課題が山積し、まったく「楽しくない」状況だ。
開会直後にはさっそく、自民党の裏金問題にからみ、安倍派の会計責任者の参考人招致が立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で議決された。
少数与党として臨む通常国会のため、石破首相をはじめとする政府・与党の思惑どおりには進まないのが現状だ。
そしてこの先にも、国民民主が求める「103万円の壁」の引き上げや、維新が訴える高校授業料の無償化などの議論が石破首相を待ち構える。
予算成立のため、国民民主か維新への歩み寄りが事実上求められる状況で、綱渡りの国会運営は続く。