父親は「息子はみんな遠くに住んでるんだ」 

♯1でも報じたように、地元の公立中学校時代はバスケットボール部で活躍、創立百年以上の県立伝統高ではサッカー部や軽音部に所属し、東京の国立理系大学へと進んだ矢口容疑者の少年時代には、暗い影は見当たらない。

小、中学校の同級生の保護者も取材にこう振り返った。

「雄資くんとはうちの子供が小、中学校が同級生だったので知っていますよ。小学校時代は彼のお母さんと一緒にPTAの役員をしていました。お母さんはとても温和ないい方で、みなさんのまとめ役をなさっていました。当時はご両親とも家業の時計屋さんをやっていたと記憶していますが、お子さんたちにとっては、恵まれた家庭環境だったと思います。

雄資くん自身は明るい感じの人気者タイプで、悪い事をするような子ではありませんでした。勉強や運動がずば抜けてできたという印象はありませんが、中学時代は塾にも通って勉強熱心だったし、たしかチェーンの塾で英語も習っていました。

高校からはウチの子供とは別だったので話題も少なくなりましたが、お母さんを早くに病気で亡くされたというのはお聞きしました。もう20年以上前のことだと思います。今回の事件が起きた直後は雄資くんが犯人だなんて思いもよらなかったので、逮捕の報道に驚きました。『雄資』という字の名前は珍しいし、子供からも同級生だったと連絡がきましたから。本当あんなひどいことするような子には思えなかったけど、何があったのかしらね」

逮捕された矢口容疑者(共同通信社)
逮捕された矢口容疑者(共同通信社)
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矢口容疑者の父親が長野駅前で経営していた時計店近くの商店主も、表情を曇らせた。

「時計店は閉店というわけではないんですが、お店をほとんど開けなくなってからもう3~4年は経ちますね。お父さんは足腰が相当弱っているみたいで、調子のいい時しかお店はやっていないような状態ですね。息子さんが3人いるとは聞いていましたけど、『息子はみんな遠くに住んでるんだ』と言ってたし、容疑者も含めて息子さんたちを時計店で見かけたことはありません」

撤去された献花台のあとには、今も多くの花が供えられていた(撮影/集英社オンライン)
撤去された献花台のあとには、今も多くの花が供えられていた(撮影/集英社オンライン)