デマを見た支持者が「本当のとこ、どうなん?」
竹内氏は立憲民主党とともに「ひょうご県民連合」という会派を構成していたが、政党には属さずスタッフもいなかった。
「そのため攻撃は事務所をひとりで守っていた奥さんがまず一身に受けることになりました。立花氏が百条委委員長の奥谷謙一県議の自宅前で街頭演説を行ない、竹内さんのところにも行くなどと宣言したため、奥さんや家族は恐怖にかられ、知事選中から事務所を閉め、家から出られないほど追い詰められたんです」(県関係者)
電話やメール、SNSでの誹謗中傷の他にも竹内さんや家族には嫌がらせがあったとの見方があるが、竹内氏は親しい人にも何が起きたのか、生前ほとんど口にしていない。
「結局、斎藤さんが当選した翌日の11月18日に竹内さんは、『家族を守りたい』として県議の辞職届を出し、その後、奥さんは少し回復されました。しかし政治家であることが人生の柱であった竹内さんは、それが崩れたことで希望を失ったようなんです」(ひょうご県民連合の上野英一県議)
竹内氏の妻も「(夫は)おかしいと思ったことは言わずにはいられない人で、政治活動でしか票のお返しはできない、といつも言っていました。それが、議員を辞めたことで一番大事なものを失くしたと思い苦しんでいました。『おれは負けた』と、後ろ向きのことしか言わなくなって…」と、竹内氏の最後の姿について、つらい記憶を話す。
公の場から姿を消した竹内氏に対しては、今度は「斎藤氏の疑惑をでっち上げた容疑で警察の事情聴取を受けている」とデマが流され、本人の耳にも入り込んできた。
「本人はSNSを見ないようにしていたんですが、デマを見た支持者が『本当のとこ、どうなん?』と聞いたりしました。疑ったり悪気を持ったりとかはないと思うのですが、本人は悪い風にしか受け取らない。これが一番キツかったようです」(上野県議)
竹内氏を心配した元同僚議員は、竹内夫妻と1月に会うことを約束していたという。しかし竹内氏から「やっぱり会えない」と断りの連絡が届き、直後に竹内氏は亡くなった。竹内氏は会う約束を、妻には伝えていなかったという。
「こんなこと、繰り返されてはならないです…」
竹内氏の妻は、憔悴しながらも、同じ目に遭う人が出ないことを願っていた。