地元メディアはモザイクをかけて報道
出身の韓国では昨年から、尹錫悦大統領(職務停止中)による“政権クーデター”で政治の大混乱が続いている。また、航空機が着陸に失敗し179人が死亡する大惨事も起きた。そこへ自国出身の留学生が事件を起こしたとの悪いニュースがさらに続くことになった。
「主要メディアは比較的大きく報じています。韓国の人は、移民や留学、駐在などで海外に同胞が多く、外国で加害者や被害者になった事件が伝えられる頻度は日本よりも多い感じですね。通り魔的な事件は、2007年に米バージニア工科大で在米韓国人の学生が銃を乱射して32人を殺害した大事件があり、これへのトラウマもあってメディアはかなり敏感に反応します」
そう話す全国紙国際部デスクが続ける。
「今回韓国のネットでは、『韓国人であることが原因でいじめられたんじゃないのか』との短絡的な推測も出ていましたが、いじめがあったことが確認されたわけではなく、こうした主張をたしなめる声もあります。『心に何か不調を抱えていたのではないか』という冷静な意見も多く出ています。
一方、護送される際のユ容疑者の姿を日本メディアが報じたことを受けて、『モザイクもかけずに顔が公開された』と見出しにとって報じるメディアも多くあります。韓国ではよほどの凶悪事件でなければフルネームや顔をメディアが報じることはないので、殺人でもない事件でこれらが報じられることは韓国メディア的にはNGとされています。大手メディアは日本の報道を引用しながらも、ユ容疑者の顔にモザイクをかけ、氏名も『ユ氏』とだけ伝えています」
多くの大学が海外からの留学生を多数受け入れている時代。同種の事件を繰り返さないためにユ容疑者の動機の解明は重要な意味を持ちそうだ。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班