毎日の生活動作に〝不便〟が生じている
毎日の家事動作には健康を維持する効果があります。身体活動の強さはメッツという単位で示され(※METs=安静時は1.0メッツ)、たとえば「料理を作る」は2.0メッツ、「風呂掃除をする」は3.5メッツ、「掃除機をかける」は3.3メッツ。「階段を上る」は4.0メッツです。
親が自立生活をしているなら、今日できたことが明日もできるように、暮らしの環境をサポートしてあげましょう。
ただし、現実問題として老化は避けることができません。転倒などのリスクも高まっていきます。そこで子に求められるのは、親の身体機能や認知能力が低下したときのことを想定した対策です。
Cさん(80代・女性)は55歳で夫を亡くし、以来30年近く一人暮らしをしていました。ヨガ教室に通うなど、体は丈夫で元気でしたが、70代後半からもの忘れが多くなりました。80歳を過ぎると、認知症の症状が顕著になり、瀬戸物の急須を直接ガスコンロにかけたこともあります。
帰省して、母親の危険な行動を目撃した娘さんは、その日のうちにコンロをIH(電気)式に交換しました。これは正解です。でも、認知症が進行する前にIHに切り替えていれば大正解でした。
高齢になれば、自分でできる(と思っている)ことがあればあるほど、家の中でトラブルを招く危険も多くなります。しかし、その危険から親を守ることも、事前の対策で可能になります。
身体機能の衰えとともに、親の毎日の生活動作には〝不便〟が生じてくると思ってください。そして、不便を解消する手助けをして、〝快適〟な生活を一日でも長く続けられるようにしてあげるのが子にできる恩返しです。