借金なしに済む「生活資金」は常に確保せよ

多少の支出の集中があっても借金をしないで済む程度のお金は、別途確保しておくべきだ。通常、生活費の3カ月から6カ月分くらいだろう。

クレジットカードのリボルビング払いやキャッシングなどの細かな借金もしないように注意せよ。これらの借金残高に対する金利は高く(例えば年率15%)、運用の期待利回り(株式でも短期金利+せいぜい5〜6%)を遥かに上回る暴利だ。

父は、かつて大学で講義する際に、「デートの際にクレジットカードをリボルビング払いで決済する相手とは結婚しない方がいい」と毎学期教えていた。経済観念の乏しい相手と結婚すると苦労するからだ。

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運用資金は全額「全世界株式のインデックスファンド」でいい

運用資金の全額を「全世界株式のインデックスファンド」に投資していい。インデックスとは株価指数のことだが、全世界の株式で構成されたインデックスに連動する投資信託に投資するのだ。

今なら、通称「オルカン」こと「eMAXISSlim 全世界株式(オール・カントリー)」でいい。理由は、有利な形で分散投資されていて、運用の手数料が安いからだ。

手持ちの運用資金のすべてを株式に投資することに抵抗感があるかもしれない。

インデックスファンドに投資した場合の株式投資のリターンは、100年に二、三度クラスの「最悪の場合」でも1年に3分の1くらいの損失、同じくらいの確率の「幸運な場合」では4割くらいの利益、平均的には短期金利がほぼ0%なら年率5〜6%くらい、だと実務の世界や学者の間では考えられていて、父も「そんなものだろう」と思っている。

正確な数字は誰も知らない。

本書の執筆時点(2023年秋)の日本の短期金利はほぼゼロなので、これプラス5%と見て、株式投資の期待リターンをおおむね「年率5%」くらいだと考える。現在の日本の税制では、実現した利益に対して約2割の税金が掛かるので、実質は年率4%くらいとなる。

この条件に、運用資金のすべてを投入することに君は抵抗感があるだろうか?確かに、「3分の1の損失」に当たると痛いし、日々の株価の変動が気になるかもしれない。

しかし、考えてみよう。特に、若いころの運用資金額はたかがしれたものであるはずだ。