大会後に審査員批判のない大会
審査員を漫才師だけにしてしまうのは、あまりにも専門的な大会になりすぎるため、落語家など別の分野の芸人を入れるべきだという意見もあがっていた。令和ロマンが優勝した要因に関しては、M-1という大会が、以前よりも漫才のコンクールとして“競技化”したことも影響しているかもしれない。
とはいえ、この審査員に関して今年は、大会前にさまざまな賛否の声があったが、終わってみれば“成功”だったといえそうだ。
M-1審査員の象徴的存在でもある松本人志不在の今大会、審査員は例年の7人制ではなく、9人制に変更された。一人一人の負担が減るためか、番組冒頭で博多大吉は「思い切った審査ができる」と言っていたが、実際にそれが功を奏し、それぞれが点数の幅をしっかりつけられた審査だった。
また、審査員の大御所不在も物議をかもしたが、これも結果的にはいい方向に転がった。これまでのM-1は終わってみれば、審査員の得点や審査コメントが一番話題を集めるといったことが多かったが、今大会ではそういった場面はなかった。
M-1という大会で、出場者にしっかりとフォーカスが当たり、審査員はある意味で裏方に徹するというかたちがとれていたのだ。これにもネット上で声があがっている。
〈今年は審査員のストレス無かった… 一番審査員良かった〉
〈審査員が目立ってないことは、ほんとすごいこと 審査員全員ありがとう〉
〈審査員が目立たないくらい今大会良かったです〉
さらに、優勝直後の優勝者コメントでは、くるまが「次は審査員をやりたいです!」と宣言。お笑い分析力が高く歴代チャンピオンの中でも「一番現役に近い芸人」のくるまが審査員となれば、大会はさらに盛り上がるだろう。
第20回大会という節目を迎えたM-1グランプリ。松本人志不在の中でこれだけ盛り上がる大会になったことで、M-1グランプリがこれからも続いていく大会になる可能性を改めて感じた。
文/ライター神山