令和ロマン圧巻の連覇の舞台裏

大会前から大きな注目を集めていた今回のM-1。なんといっても、昨年、圧倒的に不利と言われるトップバッターから優勝を果たした令和ロマンの連覇に焦点が当たるなか、彼らの出番は今年もまさかのトップバッターだった。

令和ロマンが登場すると会場がどよめき、緊張感の漂う重い空気をもろともせず、いきなり高得点を叩き出した。圧巻の漫才に視聴者の多くが「連覇が決まった」と思ったことだろう。

トップバッターで圧巻の漫才を披露した令和ロマンの髙比良くるま(左)と松井ケムリ ©︎M-1グランプリ事務局
トップバッターで圧巻の漫才を披露した令和ロマンの髙比良くるま(左)と松井ケムリ ©︎M-1グランプリ事務局
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実は今回決勝戦に出場した全9組のうち、準決勝とネタを変更してきたコンビが2組だけいた。

それが、令和ロマンとエバースだった。

当然ながら、M-1に出場するコンビの“最強ネタ”は、最難関ともいえる準決勝で披露したネタだ。決勝戦のファーストステージでは、そのネタを披露するのが定石となっている。だが令和ロマンは、準決勝のネタを“温存”するようなかたちで、別のネタを披露。ファイナルステージにまで駒を進めた後、満を持して準決勝で披露したネタを演じた。

とはいえ、これが温存ではなく、“戦略”だった可能性もある。令和ロマンは1本目に客席に語り掛けるタイプのしゃべくり漫才を披露していたが、実はこれが、昨年にボケの髙比良くるまが明かしていた“戦略”と同じなのだ。

まだ会場が温まりきっていないときには、「漫才コントよりも、客席に語り掛けるタイプの漫才のほうがいい」と分析していたように、まさに今年も、その法則にのっとったネタであった。

そしてファイナルステージでは、マイムをふんだんに取り入れた漫才コントを披露。一本のきれいなストーリーの中で、たくさんの人物が演じ分け、最後のオチにまでもっていくのにかかった時間は制限時間の4分。濃密すぎる4分間だった。

今大会、点数が伸びなかったコンビに対する審査員の批評として、展開のなさや、盛り上がりに欠けるといった指摘があったが、令和ロマンの2本目はまさにそうした指摘をすべてカバーした完璧なネタだった。

「去年は決勝に4本ネタをスタンバイしていたけど、今年は2本だけでした(くるま) ©︎M-1グランプリ事務局
「去年は決勝に4本ネタをスタンバイしていたけど、今年は2本だけでした(くるま) ©︎M-1グランプリ事務局

「面白い」を超えて、「圧巻」という言葉が当てはまるような令和ロマンの漫才。SNSで視聴者の反応を見ても、そういった言葉が多く並んでいる。

〈令和ロマンまじで圧巻だったな くるまの演技が上手すぎ〉

〈令和ロマン、すごかったな~。圧巻。 映画見てるようだった〉

〈令和ロマン凄すぎる〜 他のコンビも面白かったけど場を掴むうまさが圧巻過ぎた〉

〈連覇達成した令和ロマンさんは本当に圧巻でした… 1本目とあんなに毛色変えてそれでもおもろいのは引き出しが多すぎるのよ〉

「笑った」「面白かった」というコメントももちろんあるが、それ以上に「すごい」「うまい」といった印象が強かったのだろう。

また今回の大会といえば、審査員がガラリと変わり、M-1優勝者を中心とする漫才師だけになったことも大きな注目ポイントだった。