かつて「野球の勝敗を左右するのは打率じゃない」と気づいた男のデータ革命…ただの数字を見て「大発見できる人」と何も気づかない人の決定的な差
マーケティングの世界においてよく使われる「インサイト」という概念。闇雲に努力して、ひたすらにアイデアを捻り出そうとするよりもたった一つの「インサイト」さえ見つかれば、信じられないような高い確度で、より多くの人を動かせるような、優れたアイデアが発想できる。「人を動かすアイデア」を誰でも生むことができる「インサイト思考」に迫った『センスのよい考えには、「型」がある』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。
センスのよい考えには、「型」がある #1
まず気づきや違和感、疑問や問いを大事に
つまり、彼の人生経験から独自の「野球観」が生まれたことで、以前からあったが誰も重要視しなかった「出塁率」というデータに注目して「インサイト」を発見し、有用な「新たな視点」を見いだして「価値」を提供し、イノベーションを起こすことができたのではないでしょうか。
ただ、ここで大切なのは、このようなインサイトを導き出し、イノベーションを起こすためには「データ」が必要だったということです。データのないところで持ち出されるインサイトは、「思いつき」の粋を出ないことも多いですし、検証も困難です。
新しい視点やアイデア、イノベーションを生み出すために、自分独自の人生観から、新しい視点で改めてデータを見直して、「インサイト」を発見していくことも、これからの時代には、ますます大切になっていくかもしれません。
データは、ただの数字です。言ってしまえば、石と同じとさえ言えるかもしれません。ある現実の結果として、そこに存在しているだけです。しかし、同じ石を見ていても、その石が、その場には本来ない珍しく稀少な石だと気づく人もいれば、その石がどんな有用なものに加工できて経済的な価値をもたらすかがわかる人もいます。
または、その石があることで、周囲の環境が今後どのように変化していくかの想像がつく人だっているかもしれません。
石炭が全盛の時代に、石油はまだその有用性が誰にも理解されておらず、不要なものとして川に垂れ流されていた、という逸話もあります。つまり、石を見る前に、その人ならではの視点で何かに気づき、違和感や疑問を持ち、何かをつかんでいた人にしか、その場にある石から意味や価値、有用性を見いだせません。
つまり、単に多くのデータが手に入り、蓄積されただけでは、そこから自ずと「インサイト」が生まれることはないのです。データを見る前に、あなた独自の気づきや違和感、疑問や問いがある。それらを持って、改めてデータをじっくり見てみることで、自分の気づきや違和感が「インサイト」へと育っていくのです。
センスのよい考えには、「型」がある
佐藤真木 阿佐見綾香
2024/11/28
1,870 円(税込)
336ページ
ISBN: 978-4763141835
「センスのある考え」は再現できる
◎電通の社内勉強会から生まれた「アイデアを生むフォーマット」を初公開。型があるから誰でも再現できる!
世の中には「どうしてあんなことを考えつくんだろう!」「あの人はセンスがある!」と思えるような人がいます。でも、自分には「センスがないから」と言ってあきらめる必要はありません。実は、センスがある人には、独特の思考法があるのです。
本書は、電通の社内勉強会から生まれた、「自分の感覚」をもとに、多くの人から賛同されるアイデアやヒットを作っていくための、まったく新しい思考の本です。
ヒントは「インサイト」と「裏から考える」こと。それだけで、見える世界が変わってきます。
「自分の感覚を信じられない」
「自分にはセンスがない」
「自分はいいと思っているのに社内で賛同が得られない」
といった方に、ぜひ手に取っていただきたい1冊です。
◎ピーター・ティールも重視した?「インサイト」を見つける教科書
マーケティングの世界では、「インサイト」という言葉がよく使われますが、センスのある人は「インサイト」を見極めています。「インサイト」とは「人を動かす 隠れたホンネ」。だからこそ、新しくて、みんなが喜ぶ意見が出せるのです。今まで体系立ててその「インサイトの見つけ方」を学ぶ本はありませんでした。本書では、誰もが「インサイト」を見つけるための方法を解説。読んですぐ役立つ内容になっています。
ピーター・ティールは、「爆発的に成長するスタートアップは、市場における『隠れた真実』を土台に築かれる」と言いました。「インサイト思考 」はマーケティングだけでなく、ビジネスのすべてにかかわる「ビジネスを生み出す究極の思考整理術」です。
●こんな人におすすめ
・いつも発想がありきたりになってしまい、センスのよい考えがまるで出てこない人
・データを見ていてもアイデアや解決策が、まったく出てこないと悩んでいる人
・マーケティングを勉強し、王道のやり方を実践してみても、思うように商品が売れるようにならなかったという人
・「これかも」という直感は湧くのに、それをうまく論理立てて社内や顧客に伝えられない人
・「これかも」という直感は湧くのに、自信がなくて言い出せずにお蔵入りになりがちな人
・「アイデアや発想はセンスだ」と感じ、あきらめを抱いている人
・凄腕の先輩や上司たちの「その手があったか!」「そうそうこれがほしかった……」というアイデアを見てきたけれど、いざ自分でやろうとしても、できる気がしないという人
・「直感」では正しいと思うけれど、「数字で説明して」「論理的に説明して」と言われて説明ができなくなっている人
・「データ」を見たところで、ありきたりのことしか思いつかない人
・ロジカルに考えたところで、飛びぬけた考えが出てこない人