ベースボールにデータ革命をもたらした「インサイト」
データはどんなものでも、きちんと解析されていれば、現実世界の一端を見せてくれるものですが、そこから「インサイト」を発見し、有用な「新たな視点」を見いだして「価値」を提供し、イノベーションを起こすのは、とても難しい作業です。
どのようにしたら、データから「インサイト」を発見できるのでしょうか? さらに、イノベーションへとつなげられるのでしょうか?
『マネー・ボール』(マイケル・ルイス著 中山宥訳 早川書房)というメジャーリーグで実際にあった話を題材として映画化された本に、データから新たな視点や価値、すなわち「インサイト」を見いだした非常に興味深い例があります。
当時、MLB随一の貧乏球団であったオークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャーのビリー・ビーンという人物が、野球というゲームの見方をかなり大胆に捉え直し、野球から得られるデータの価値を画期的に変えて、アスレチックスをプレーオフ常連の強豪チームに作り変えました。つまり、データから独自の「インサイト」を発見し、データを有用に使えるようにして、イノベーションを起こしたのです。