インバウン丼、健在! しかし、食べているのは…
11月下旬、「豊洲 千客万来」の飲食店が開店する10時少し前に行くと、すでに開店待ちの人でにぎわっていた。開店直後、さっそく施設内の店舗スタッフに最近の施設の様子について話を聞いてみた。
「2月のオープン直後ほどの人ではありませんが、その後も人は入っています。ほとんどがバスツアーなどツアーで訪れる観光客ですが、ツアーだけで1日2000人くらい来るみたいです」(施設内店舗スタッフ)
たしかに、平日のランチ帯の前にもかかわらず、なかなかの人出だった。この時間は行列ができるほどではなかったが、ピークタイムには各店舗で行列もできるらしい。
肝心の「インバウン丼」も健在で、1食6400円の海鮮ちらし丼から1杯1万8000円のウニ丼まで、話題の豪華な海鮮丼もあった。この日、1食1万円のウニ丼を食べていた香港出身のラウさんに話を聞いた。
「ふだん、香港でもウニは食べますが、ここのウニはとてもおいしかったです。値段が高いか? 香港ではもっと高いので、特に値段は気になりませんでした」
やはり、円安の影響もあってか訪日外国人観光客にとっては「高すぎる!」というわけではないようだ。
また一方で、外国人観光客向けと思われたこの店に、多くの日本人の姿も確認できた。
「外国人観光客が多いと思われがちですが、日本人の方もよく召し上がられます。関東近隣のツアーの方よりも、遠方地からいらっしゃるツアーの方は、なかなか東京に来ることも少ないからか、(高価な)海鮮丼を注文する傾向にあるように思います」(施設内店舗スタッフ)
実は「インバウン丼」は外国人観光客だけでなく、旅の記念に食べる日本人も一定数いるのだ。
日本人相手の「インバウン丼」の効果について、インバウンドビジネスに精通している株式会社ビヨンドのマーケティングソリューション事業部・藤咲さんに話を聞いた。
「結論から言うとインバウン丼は決して高い商品ではありません。飲食業の方々が今後、戦略的に取り組むことで日本人顧客の獲得につながります。日本人顧客への有効性について、メリット、デメリット両面から考えてみました」(藤咲さん、以下同)