発達障害だと決めつけることはNG

しかし、本人の立場からすれば、「悪気があって上司を困らせているわけでもないし、自分なりに頑張っている。なのに自分に対してだけいつも当たりが強く、上司は自分を嫌っているのではないか。これはパワーハラスメントかもしれない」ということになります。

ここまでくると、上司と部下の人間関係はすでに崩壊に近い状態になっていて、修復が難しいことも少なくありません。

このような状態になる前に、専門家や人事のところに相談にきてくれていたら、と思うことが多々あります。

発達障害の知識などがあったとしても、すぐに部下や後輩を発達障害だと決めつけることはNGです。

写真はイメージです
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「あれ?」と思うようなことが増えてきたら、まずはどのような場面で、なにに対してそう思ったのかメモしておくなどして、早めに専門家に相談することをお勧めします。

専門家であれば、相談者の心のケアをすると同時に、困っている部下や後輩に対して、どのような対応方法が良いかを一緒に考え、ハラスメントにならない伝え方などをアドバイスしてくれるはずです。

アドバイスをもらって、「頑張ってはいるが、できない自分自身に対して、もどかしいものを感じているのだろうな」などと部下の立場になって考えてみると、自然と部下のつらさにも共感するような接し方ができます。

そうすると、注意するときでも、最初に「あなたも努力しようとしてくれていることは分かるけど……」などという言葉が出てくるため、部下からすれば、全体的にグッと柔らかい印象を持つことになります。