「まともに座れるベンチがない印象」
「カフェ難民」に関する記事の反響として多かったのは、公園や街中にあるベンチの数や質についての議論だ。
〈もはや都心では映画館のロビーくらいしか、まともに座れるベンチがない印象〉
〈「街なかにベンチがないから」が大きいと思うのだが、なぜかそれには一切、言及のない謎記事〉
〈誰もが無料で利用できる公共の公園やベンチを増やすべき〉
〈普通に休憩で座るスペースが無いのもたしか。昨日六本木歩いてたら歩道沿いに人がずらっと座ってて何の行列?と思ったら単にベンチが並んでいて座っていただけだった。カフェよりベンチが必要よ〉
など、SNSでは多くの人々が“無料で座れる場所”の減少を指摘。飲み物や食べ物でなく、休憩場所を求めた人々がカフェに流れ込み、混雑を引き起こしているのではないか、といった意見が相次いだ。
たしかに、近年ではコロナ禍による“密”の回避や、路上生活者による占拠対策として、「公共空間からベンチが減っている」という指摘がたびたび話題になっている。
ベンチについても、SNS上では「排除アート」や「意地悪ベンチ」と呼ばれる座り心地の悪いデザインが増えていると問題視されることが多い。
こうした意見を受け、前回に続き、カフェの混雑が著しい街・渋谷を再訪。無料休憩スポットとして有名な「MIYASHITA PARK」屋上の区立宮下公園に行ってみた。
コロナ禍真っただ中の2020年7月にオープンした同公園は、設置されたベンチに対し、開園当初から賛否が渦巻いていた。その大きな要因が“排除アート”で、SNSには、
《アートなベンチのフリをした優生思想の“排除ベンチ”。絶対に寝っ転がらせないという意志を感じる》
《宮下パークの排除ベンチ。無駄に事故を誘発するようなベンチを置くのは管轄施設や自治体にとってもマイナスだと思うが…》
《人はベンチに横になって身体を癒やす必要があるんだよ!》
《ベンチに座って休みたいのにこんな棒みたいなとこ5分も座ってられない》
など、厳しい声が今なお上がっている。
まずは、管理者がこうした利用者の声をどのように捉えているのか、公園を管理する渋谷区立宮下公園パークセンターに問い合わせたところ、次のような回答だった。