入金額が反映される架空の画面
SNS型ロマンス詐欺の前身にはSNS型投資詐欺があるという。
「2021年頃からLINEを利用した投資詐欺が急速に広まりました。投資の勉強会などを口実にLINEグループに追加され、投資アプリやサイトへ誘導されるのが典型的なケースです」(一般社団法人詐欺防止ネットワーク代表理事の松田俊也氏)
鈴木さんの1件目の被害のケースである。
最初は「10万円が数か月後に数倍になる」といった形で少額投資を促され、軽い気持ちで始めてしまう被害者が多いそうだ。
投資資金の入金先は架空の口座だが、詐欺師たちが作り上げた架空の画面上では入金額が反映される。そして、投資が成功し、利益を獲得しているかのような錯覚を与える。
被害者が儲かると思ったところで、さらなる投資を促すのが常套手段。いざ出金しようとすると、「事務手数料として100万円が必要」などと言われる。この金額を振り込むと突然連絡が取れなくなり、詐欺であることに気づくのだ。
投資の形態は多様化しており、金投資やネットショップの共同経営も増加傾向にあるという。松田氏によるとこれらの詐欺では、使い捨ての口座が利用されるため追跡が困難で、警察も犯人を特定できず、被害金の回収はほぼ不可能だという。
「また、SNSを利用した投資詐欺はロマンス詐欺と親和性が高く、SNS型ロマンス詐欺として近年主流となっているんです」(松田氏)