件名も本文も空の添付メール。レポートの締切に抗議する学生も
「偏差値が高い大学でも低い大学でも、教員に対する尊敬のような気持ちは、昔よりかなり薄れている印象があります。たとえば、授業中に何の断りもなく突然席を立ち、トイレに行って黙って戻ってくるとか。もちろん、人間なので急な腹痛などで席を立つことは仕方がないと思いますが、その際にはひと言声をかけるのが普通じゃないですか?
あと、常識やマナーが身についていない学生も多いです。レポートの提出期限が過ぎているのに、『なんで受け取ってくれないんですか!?』と窓口で騒ぎ立てて抗議する学生がいたり……。
それに、距離感やコミュニケーションの仕方も少し前とは全然違う感じがしますね。たとえば、メールの問い合わせですごく多いのは、LINE世代だからか、チャットのような形で返ってくること。普通なら『◯◯先生、いつもお世話になっています』などの文章から始まると思うんですけど、件名も本文もなく、ただレポートや資料を添付して送ってくる。ファイル内に氏名が書いてあるからいい、とでも思っているのか……」(A氏)
さらに、「特に偏差値が低い学校に、教員に対して友だち感覚で接してくる学生が多い気がします。就職先の企業さんも、本当に困っているんじゃないかな」(A氏)とも語った。
A氏にとって、学生は“手のかかる”存在になってしまっているようだが、一方で、当の学生たちは大学生活をどのように捉えているのだろうか。大学が多く立ち並ぶ都内某所におもむき、直接話を聞いてみることにした。
取材したのは、大手予備校の入試難易度予想で偏差値35~40に分類される大学に通う現役の学生たちだ。
「大学って、勉強がすべてじゃなくないですか? むしろ、バイトや一人暮らし、いろんな人との交流とか、そういう“人生経験”を積む場所だと思っています。
就活でも、学業の成績よりバイトやサークルでの経験のほうが評価されるし、どれだけ勉強したかよりもコミュニケーション能力が求められるじゃないですか。コミュニケーションも立派なスキルだし、社会に出たら学問よりも役立つと思っているんで」(都内私立大学3年生・男性)
「『大学くらいは卒業しておかないと』って思ったのと、まだ青春を楽しみたいって気持ちで進学しました。別に全員が学問を修めたいわけじゃないと思うし、むしろ人生において大事なことって、勉強以外で得られると思っているので……」(都内私立大学2年生・女性)