それでも過ごしてきた“35年”という時間は同じ
ただ、年齢よりも貫禄が見えるように感じるのは、アニメキャラだけではないとも。1966年放送の『ウルトラマン』でムラマツキャップ(隊長)を演じた小林昭二は当時35歳だったが、今でいえば岡田将生や千葉雄大がその年齢。印象がだいぶ違う。
「これも、現代において“大人はこうあるべき”“男はこうあるべき”という社会的制約が以前より緩くなったことが強く影響しているように思われます」といしじまさんは指摘する。
結局、永遠に年を取らないアニメキャラだけが1980、1990年代の社会性を鑑みた見た目を令和の今もしているため、貫禄がやたらとあるように見えてしまうのだろうか。
しかし、彼らが35歳という設定でしっくりくる時代は確かにあったのだ。そして時代は変わり、社会が変わり、平均寿命も変わったとしても、35歳になるまでに過ごしてきた時間の長さは過去も現在も同じ。35年という時をどのように積み重ねるかで、ひろしにも両津にも、ランバ・ラルにもきっとなれるはずだ。
取材・文/集英社オンライン編集部