「酒はほとんど飲めなかった」 

それでも司法試験を目指し、若い頃は結婚した経験もあったという。

「息子は無口だから好きな女性がいるとかそういう話は一切しなかったけど、30年近く前に1回結婚したことがあるのよ。

当時、まだ20代で東京にある法律の専門学校に通って何回か司法試験に挑戦したんだけどダメでね。そうこうしてるうちに音楽の専門学生の女性とできちゃった結婚して、収入がないから奥さんと子どもと一緒に実家に戻ってきたの。それから、うちで農家の仕事を手伝うようになりました。お父さんが造園屋もやってたからそれも手伝っていました。

でも、すぐに離婚しました。理由はわからない。親権は欲しかったけど、裁判で母親に取られました。もう20歳過ぎてると思う。裁判所が決めた条件で、子どもに会っちゃダメってなって。元嫁に『好きで結婚したわけじゃない。できちゃった結婚だから』といってました。『養育費もいらない』と元妻から言われたようです」

殺害された谷沢さん
殺害された谷沢さん

離婚後は、高価な万年筆をコレクションするのが唯一の趣味だったという。

「何十万円もする限定の万年筆を集めるのに血道をあげて、海外から取り寄せたりもしていました。ケースに入れて並べています。

東京に行くのも、万年筆を買うときくらいしか行かなかった。上野のガード下とかに買いに行っていました。離婚してからしばらくは、『女はいらない』って感じで趣味に没頭していて、彼女はいなかったと思う」

それがいつの頃からか、くだんのガールズバーに通うようになったという。それが被害者の言う「マッチングアプリ」を介したものだったのかどうか、母親は知る由もない。

「なんだか女の子から電話がかかって来るようになって、そうすると翌日か2日後くらいには店に行っていました。店には週1くらいのペースで通っていました。

飲み屋の女の子を刺したらしいけど、あの子は飲めないんだよ。たまに缶ビール1缶を私と半分ずつ飲むくらい。しかも、身体壊してて、ヘルニアと糖尿病、肝臓も悪くしてるから薬いっぱい飲んでるの。なのに何でそういう店に行ったのかわからない。だから心配してるんだよ。警察にうちらからの薬は持って行けないから」