開会式でセーヌ川の汚さが世界中に知れ渡る
パリ市内の中心部を流れるセーヌ川は、ヨーロッパで最も有名な川の一つとして観光スポットにもなっている一方で、訪れた人をガッカリさせるほど“汚い”ことでも有名だ。
日本で汚い川の代表として例にあげられることもある、大阪・道頓堀川の4倍もの大腸菌が検出されたとの報道もあり、セーヌ川は1923年より水質汚染による健康被害を理由にして遊泳が禁止されている。
パリ市は今回五輪を誘致するにあたって、14億ユーロ(約2400億円)を投入して浄化作戦を決行したが、五輪開催直前の6月に28回水質調査をしたところ、競技実施の基準を満たしたのは3回だけだったことが明らかになっている。
7月17日には、65歳のイダルゴ市長が自ら川で泳ぎ、水質が改善したことをアピールしていたが、映像越しでも川は濁って汚れていることは明らかで、とても人が泳げるような場所には見えなかった。
7月27日(現地時間26日)には、このセーヌ川を舞台に開会式が行われたが、このとき初めてセーヌ川の汚染の実情を知ったという人も多いようで、テレビの視聴者からは〈セーヌ川で開会式するのオサレやん、と思ってたけど水めためたに汚いな〉〈セーヌ川、道頓堀より色汚いな。空撮やと特に〉〈華やかなパフォーマンスと川の色の汚さのコントラスト〉〈開会式ちょっと見てるけどセーヌ川、きったねえ色してるな〉とドン引きの声もあがっていた。
式の中では、このセーヌ川から噴水があげられており、その水飛沫が選手にかかってしまうことが心配されていたが、トライアスロン競技にいたっては、その川を1.5kmも泳がなければならない。
今回のトライアスロンのルートは、浮桟橋(ポンツーン)から始まり、セーヌ川Ⅲやシャンゼリゼ通り、モンテーニュ通りなどを通過し、ゴールのアレクサンドルⅢ世橋を目指すという構成。
フランスのトライアスロン選手、レオ・ベルジェールは「オリンピックに出場しながら観光できるのですから、かなり特別なものになるでしょう」と太鼓判を押している。
確かにテレビで見ている分には観光気分で楽しめていいが、パリのPRもかねてセーヌ川の汚水の中を泳がなければならない選手はたまったものではないだろう。SNSでも〈利権チラチラ見えて選手ファーストではない気がする〉〈選手ファーストとは程遠い〉など呆れ声もあがっている。