アメリカは憧れの存在ではなく、倒すべき存在へ
「今は1992年ではない。世界のチームや選手は進化している。ワールドカップやオリンピックで勝つのは簡単ではない」
2023年のワールドカップ、準決勝でドイツに敗れた際のアメリカ代表HC(ヘッドコーチ)、スティーブ・カーの敗者の弁だ。
カーがアメリカ代表のHCに就任したのが2021年12月。初めて指揮した国際大会で大きな屈辱を味わっている。
1992年、バルセロナオリンピックでアメリカ代表“ドリームチーム”は平均得失点差44点で圧勝。対戦国の選手が試合前後にサインや握手を求める姿は、もはや勝負ではなくショーだった。
しかし、カーの発言通り時代は変わった。
1992年以降、オリンピックでこそアメリカ代表は2004年のアテネオリンピックで銅メダルに終わったものの、それ以外の大会では優勝している。
しかし、8度あったワールドカップでは、NBA選手を派遣したにもかかわらず、3大会しか優勝できていない。
近年のNBAでもレギュラーシーズンMVPには、アメリカ籍以外の選手たちが顔を並べている。
1992年、世界がドリームチームの背中を追いかけ始め、いよいよ追いつこうとしている。もはや、アメリカは憧れの存在ではなく、倒すべき存在となった。
アメリカ代表の少しの油断も致命傷になりかねない。
しかし、アメリカ代表の練習を見る限り、油断は皆無だった。