「代表合宿を見学したい」アメリカ代表HCに直メール
「ひさしぶり。楽しんでいって。ところで家族は元気かい?」
バスケットボール男子アメリカ代表HCのスティーブ・カーは、そう言って笑った。
ひさしぶりというには長すぎる時間が経過していた。テレビ電話やメールでのやり取りは重ねていたものの、実際に面と向かって会話するのは28年ぶりなのだから。
本来なら2022年に再会を果たせていたはずだった。NBA JAPAN GAMES 2022、カーはゴールデンステイト・ウォリアーズのHCとして来日。「レセプションで会おう」とメールで約束していた。
しかし当日、諸事情によりカーはレセプションに参加できず。再会は叶わなかった。
パリオリンピックを最後に、カーはアメリカ代表HCを退任する意向を発表している。代表HCとしてのカーに会うならば、残された時間は少ない。
さらに今大会のアメリカ代表は、レブロン・ジェームズ、ステフィン・カリー、ケビン・デュラントらを擁し、1992年のバルセロナオリンピックで初めてマイケル・ジョーダンらNBA選手を派遣し“ドリームチーム”と呼ばれた伝説のチームと比較しても遜色ないスーパースター集団となっている。
いつ訪れるかわからない再会のタイミングを待っているより、今こそ会いに行くタイミングではないかと思えてならなかった。
6月、思い切ってカーにメールを送った。「パリオリンピック、頑張って。できれば7月の代表合宿を見学したいと思ってる」と。カーからの返信は予想以上に好意的だった。
「ありがとう。期待に応えられるよう頑張るよ。ラスベガスの合宿に来こられるようなら力になる。カナダとの親善試合のチケットも手配できるか確認してみるよ」
カーは、練習会場を写真付きで、練習時間の詳細も教えてくれた。
そして7月7日、アメリカ代表合宿会場、UNLV(ネバダ大学ラスベガス校)のメンデンホールセンターでカーとの再会は叶った。