自民「裏金問題」でかき消された「旧統一教会問題」
――安倍晋三元首相銃撃事件から2年。当初は旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)関連の報道が連日、メディアを賑わせていましたが、今ではほとんど見聞きしません。有田さんはこの現状をどうお考えですか?
有田(以下、同)明らかに世間の関心が薄れ、「空白」と表現してもおかしくない状況になっていますが、本質的な問題はなんら解決されていません。
おそらく来年には解散命令が下されても教団は控訴しますから、確定するのは早くても3年後の2027年頃になるでしょう。裁判は非公開です。このままではますます、旧統一教会への無関心が進みかねないと危惧しています。
実際、7月7日に行われた都議補選でもその兆候がありました。
自民は都議補選で8選挙区に候補を立て、2勝6敗の惨敗を喫しました。その象徴が旧統一教会との深い関係を指摘されている萩生田光一前政調会長の地元、八王子市選挙区です。ここで萩生田氏が推す自民新人が野党系の元職候補に4万票の大差で敗れたのです。
この敗戦について、自民関係者は「ひとつの負けではなく、ふたつの負け」と説明しています。今回の敗戦は新人候補が敗れただけでなく、“裏金問題で批判された”萩生田氏が敗れたことも意味する。つまり、自民にとってこの負けはひとつでなく、ふたつだったというわけです。
問題なのはその説明から「旧統一教会」というワードがすっ飛んでいるということなんです。
八王子には創価大学があります。その関係者は萩生田氏を許せないのは裏金問題とともに統一教会問題の象徴だからだといいます。これはいわば当事者の真っ当な感覚です。
意識から統一教会が消えているのは自民だけでない。メディアもその説明をすんなりと受け入れている。自民もメディアもわずか2年間で萩生田氏といえば旧統一教会という認識をなくしてしまい、「空白」の状態になっているんです。
――その一方で、旧統一教会は現在、どのように状況にあると見ていますか。
先日の7月7日にも博多駅前で約100人の信者が集まり、国の解散命令と福岡市の公共施設利用拒否に反対する街宣行動を行ったばかりです。私の目には教団が解散命令というXデーに備え、緊張感を高めているように見えます。
ほかにも、旧統一教会の信者たちの間では3冊の本が話題になっています。私の表現でいえば、教団にとっての「3大悪書」です。