昭和、平成世代の水分補給は? 

一方で、昭和、平成の学校ではどのように水分補給がされていたのだろうか? それぞれの世代に訊いてみた。

「私は小学校の頃、バレー部に入っていて、放課後の体育館で毎日ハードな練習に励んでいました。私たちの世代は『ブラック部活』がまだ当たり前の時代で、決められた休憩時間にしか水分補給をすることが許されませんでした。

夏場の蒸し暑い体育館で練習をしていて、喉がカラカラの状態でも監督に『休憩時間になるまで我慢しろ!』と言われていました。限界を感じ、トイレに行くふりをして、監督に隠れてトイレの水道の水を飲む部員も多かったです。

私は物心ついた頃から水道水を飲むことに抵抗があったので、ふだんであれば絶対に飲まないのですが、そのときばかりは熱中症で倒れるよりはマシだと言う気持ちで、トイレの水道の水をガブ飲みしました。今思い出しても辛い思い出です」(20代後半女性 サービス業)

「僕が小学生の頃は、今のように熱中症対策をするのが当たり前の時代ではなかったので、学校に水筒を持って行かない日も普通にありました。

小学校には冷水機が設置されていましたが、クラスメイトが水の出口に口を直接つけて飲んでいるところを見てしまって以来、飲めなくなりました。

当時は水を買うなんて概念がなかったので、みんな学校でも当たり前のように水道水を飲んでいました。中学生くらいまでは、水分補給ができれば何でもよかったので、水道水がまずいとかおいしいとか考えたこともなかったですね」(30代・男性 営業)

昭和・平成の女の子たちはこのように水を飲んだという(撮影/集英社オンライン)
昭和・平成の女の子たちはこのように水を飲んだという(撮影/集英社オンライン)
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「冷水器なんかありません。学校の水道水で水分補給をしていました。だから、体育の授業終わりや夏場は水道に長蛇の列ができていました。蛇口に口を直接つけて水を飲んでいる子がいるとみんな『汚い』と言って、その子の後ろには並ばないようにしていました。

あと、僕が通っていた小学校には、『右から2番目の蛇口から出る水が冷たくておいしい』という噂が流れていました。水を飲んでいる途中で後ろからくすぐられて、口に含んだ水を思いっきり噴き出しちゃう子もいましたね。

それに男子は蛇口を上にして“じか飲み”。女子は蛇口を下にして“手をかざしながら口に飲む”なんて謎ルールがありました。懐かしいですね」(40代半ば男性 自営業)

総務省消防庁によると、昨年5月〜9月の全国での熱中症による救急搬送人員の累計は9万1467人である。こまめな水分補給を心がけ、くれぐれも熱中症対策は万全に。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班