すぐに分かった対策の理由

注意書きは広場内だけにとどまらない。広場の敷地外にあたるガードレールにも、スケートボードや夜間会話の禁止を伝える掲示が数多く張り出されていた。

広場の敷地外にも大量の掲示が
広場の敷地外にも大量の掲示が

こうした現地の様子からは、夜間の話し声やスポーツによる騒音が、近隣住民にとって無視できないレベルでの迷惑になっていたことがうかがえる。中央4席を塞いだ意地悪ベンチも、人が集まって話し込むことを防ぎたかったのは想像に難くないだろう。

こうした対策に、ベンチの利用者は複雑な思いを抱えているようだ。撮影時、実際に腰を掛けていた男性に話を聞いた。

「この辺は夜、たまり場みたいになることもあるみたいですね。話し声とか遊ぶ音が近所迷惑で、たばこのポイ捨てにも悩まされているみたいで……。そう考えれば仕方ないかもしれないけど、これは(ポール設置は)ちょっとやりすぎのようにも感じます」(50代男性)

今回の話題を受け、新宿区の吉住健一区長は、7月16日更新のXで「広場ができて以来、苦情が絶えない状況が続いていたので、現場も悩んだ末の暫定的な対応だと認識しています」と説明している。

また、「有効な対応策を発案し指示を出せなかったのは私の責任です」とも表明し、「現地の方々と相談しながら、今後のあり方をなるべく早く決めていきたいと考えています」と違った対策に乗り出す意向も示した。

このように意地悪ベンチが広がる中、まるで逆を行くかのごとく、積極的に座る場所を提供している商店街がある。

広場最寄りの中井駅から都営大江戸線で1本、40分ほどで到着する江東区・清澄白河駅付近の深川資料館通り商店街だ。