女性より男性が購入することが多い
水無月は三角の形をしていて、土台はモチモチとした食感の外郎や葛が使用され、表面は蜜漬けの小豆が施されているのが特徴です。
三角の形は氷を表しています。現代では氷は四角いイメージですが、昔は大きな氷の塊を刀で切り出していたので、氷の角を表す三角の形をしています。また、外郎や葛で氷の透明感を表現して涼やかに見せています。
表面の小豆は、小豆の赤色が悪霊払いや厄除けになるとされているためです。蒸しあげた外郎の上に蜜漬けした小豆を敷き詰めて、さらに蒸しあげて完成します。
最近は、外郎が抹茶入りなど各社でさまざまなバリエーションが販売されています。
水無月は冷蔵庫で長い時間冷やすと固くなってしまうので、なるべく常温で保存してください。生地が固いと感じたら、1分ほど蒸しなおすと出来立てのようなモチモチ感が楽しめます。
水無月は京都を中心に、関西では知られているお菓子ですが、ここ数年は百貨店の催事や店舗でのPRや通販を通して、全国に認知度が上がってきていると実感しています。
また、当社では水無月を購入するのは女性のお客様より男性のお客様のほうが多いんです。はっきり理由を調べたわけではないのですが、水無月が普通の和菓子ではなく、無病息災を祈願するお菓子であることや、水無月の雑学などが話のネタにもなるということでお求めいただいているのではと考えております。
水無月は、あっさりしていて食べやすく甘いものが苦手な人でもおすすめというところも、広まっている要因の一つかもしれません。
水無月に限らずですが、和菓子のよさは季節によってお菓子が変わって楽しめることです。同じ店舗に通ったとしても見飽きない、食べ飽きない面白さがあるのが特徴だと思っています。
また、水無月のように無病息災など日本の文化や歴史を感じられるのも和菓子の魅力です。
和菓子は洋菓子など他のお菓子に比べて、注目度は低いと思いますが、お祭りでおだんごを食べたり、ひな祭りに3色だんご、子どもの日に柏餅など、意外と皆さんの生活の中に馴れ親しんでいるものだと思うので、そういったことをきっかけに和菓子にも興味をもっていただけるといいなと考えています。
水無月を食べていただき、暑気払いして、元気に夏を迎えていただけたらと思います。
取材・文/百田なつき
水無月の写真提供/京菓子處 鼓月