「実は過去にも二人、呪い殺している」

先日、SNS上で“呪い”に関するポストが大きくバズって話題となった。それは〈知人が「とある人に酷い仕打ちをされた。バチがあたれ、バチがあたれ、と念じていたら、若くして死んでしまった。自分のせいだろうか」と言うので、ただの偶然なので気にする必要はないと励ましたのですが、「実は過去にも二人、呪い殺している」と言われ…〉というもの。

にわかには信じられないようなエピソードだが、なんとこれを皮切りに、Xでは呪いに関するエピソードが何十件、何百件とそこかしこから集まった。

〈「パワハラ上司が異動しますように」と書いた短冊をスーパーの七夕の笹に吊るしたら、数ヶ月後にめでたくその上司が異動したことがあります〉〈黒魔術と私は呼んでますが、職場で嫌だなと思ってた少なくとも10名の職員はいなくなりましたね〉〈実はこれ、私や周りも結構ある。辞めた職場が必ず潰れる人とかいたなぁ…バイト時代から100%らしい〉といったような職場関係の体験談。

さらには、〈私も心当たりがあります。大嫌いだった人が何人か病気になって亡くなりました〉〈母が「人を悪く思わないように気を付けてるんだ」と言っていた。母に意地悪を繰り返した人たちが怪我したり交通事故に遭ったり死んだりが続いたからだそうだ〉など、人の命にまで影響する体験談が投稿された。

呪いのイメージ
呪いのイメージ

もちろん、これらはすべて“偶然”で片づけられることかもしれない。例えば、パワハラ気質で従業員の不満がつのっているような職場なら、責任者が飛ばされたり、仕事がうまく回らず倒産…なんてケースに陥りやすいだろう。SNSなどでも、こうした呪いの体験談をただの“偶然”と指摘する声は多い。

しかし、こうした“呪い”が当たり前のようにあると信じられ、今とは比べ物にならないほど大きな影響をもたらしていた時代は確かにあった。平安時代だ。

現在放送中の大河ドラマ『光る君へ』(NHK)では、頻繁に占いや呪詛のシーンが登場する。ユースケ・サンタマリアが演じる陰陽師・安倍晴明は、その特殊な能力が買われて、天皇や貴族からも一目置かれ、政局にも大きな影響を及ぼしている。