「また一つ大切な物がこの国からなくなりました」
「80代の高齢者の方たちは、存続をしようという検討すらしていなかったですね。今回廃業される方の中には、衛生法に合わせて施設を作ることができるくらいの、大きな規模で作っていた方もいましたが、年齢的に80代半ばで足腰もつらかったので、これをちょうどやめるタイミングに選んだ感じもありました。ただ、これまで何十年も続けていた生活のリズムが急に変わってしまうので、気力が挫けたり、体調不良とかがはじまらなければいいなと思います」
改正を受けて、ネット上では〈工場で作った漬物より近所のおばちゃんが作った漬物が好き。また一つ大切な物がこの国からなくなりました〉〈インボイスと地方の零細の人々にトドメをさして衰退させる国の役人たち。ほんまくそ〉〈弱いものや少数者を潰しても多くの日本人は他人事で気にしないが、いつか自分に回ってくる〉といった悲しみや怒りの声があがっている。
日本の食の安全を守るために必要という指摘ももちろんある。しかし、昔から馴染みの食べ物が消えてしまうことは、やはり残念としかいいようがない。
取材・文・撮影/集英社オンライン編集部