ホウレンソウや小松菜、白菜…葉物野菜が食べられなくなる?

寒い時期に旬を迎える葉物野菜は、サラダや炒め物、鍋といった料理に欠かせない食材だが、そのひとつであるホウレンソウが今、生産の危機に瀕している。

農林水産省が昨年8月に更新した『令和4年産指定野菜(秋冬野菜等)及び指定野菜に準ずる野菜の作付面積、収穫量及び出荷量』の累年データ(概算)によると、ホウレンソウの収穫量は平成25年(2013年)産で25万300tあったが、令和4年(2022年)産では20万9800tにまで減少。

白菜やレタス、ねぎなどほかの葉物野菜でも減少が続いているが、一際量を減らしていたのがホウレンソウであった。

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ホウレンソウの収穫量がここまで減少している理由は一体何だろうか。

「近年の異常気象や暖冬による影響が大きいでしょう。ホウレンソウなどの葉物野菜は冷涼な気候が栽培に適しているので、気温が上がるだけでかなり育ちにくくなってしまいます。

また葉物野菜の収穫は機械化が進んでおらず、今でも手作業での収穫が大半。収穫作業は重労働でもあるため、多くの人手が必要になるのですが、働き手がなかなか集まらず、人手不足にもさいなまれています。

そこで外国人技能実習生の人手を頼っていたのですが、コロナ禍で一斉に帰国してしまい、技能実習生に依存していた農家は大打撃を受けました。収穫ができなくなり、次の年の種まきを3分の1に減らしてしまった農家の方もいらっしゃるぐらいです。

つまり、ホウレンソウ、白菜、ねぎなどの品目は、近年の気候変化の影響を受けて生産しづらくなっていることに加え、労働力を確保できずに人材不足に陥っているという二重の要因で生産量を減らしてしまっているのです」(東京大学大学院 農学生命科学研究科鈴木宣弘教授、以下同)