「俺は俺だけの音楽を作る鬼」だったはずでは…

「尊い」を越える表現は「恐怖」…「米津玄師こわい」と書いたブロガーが伝授する、他人に“伝染させる”文章の究極テク_2

しかも、いくらなんでもドラマ『アンナチュラル』にハマり過ぎている。
毎回一番良い場面で小っちゃい小っちゃい息吸い音からの「夢ならばどれほどよかったでしょう…?」が無音から入る所は聴くたびに「俺も検死してください…」と血の涙を流してしまう。

「(スゥ…)夢ならば…どれほど…よかったでしょう…?(ウェッ)」

ウェッ…は…俺の…泣き声だったのか…

みたいなことが毎話起きてしまう…おかしいだろ…俺の知ってる米津玄師はこんなミュージシャンじゃなかっただろ…こんな「ドラマから生まれました」みたいな曲を作るミュージシャンじゃねぇだろ…もっと頭イカれた「俺は俺だけの音楽を作る鬼」だったはずでは…待て…騙されるな…米津はいま地下から「あえて」地上に出てきて地上の人間向けにわかりやすい音楽をわかりやすくやってるだけ…多分あいつが本気出したら俺たち凡人は1ミリも理解できない、ほぼナメック語なんだよ…

だからこそ、俺は米津玄師が怖くて仕方がない。めちゃめちゃ知識があって専門的な話もできるはずなのに魚知らない一般人向けに「ギョギョギョ〜〜〜!」とかってピエロ演じてるさかなクンさんがたまに見せる「年下だろお前。さかな〝サン〟な。」と言わんばかりのあの表情を見た時と全く同じ。ロングコートの中は上半身裸にガーターベルトなのに、普通の顔して日常に溶け込んで国民的ミュージシャンをやってるのが怖くて仕方がない。

『Lemon』を聴くたびに鳥肌が止まらない。『モニタリング』でプロスポーツ選手がジジイの格好して紛れ込むような違和感。ある意味、米津玄師は俺たちアホのために「手を抜いてる」…だが、それは決して音楽的に手を抜いてるんじゃなく、元々の変態性と大衆性をうまくミックスさせて『Lemon』みたいな極上の作品として昇華させてるとも言える…

これから先、コアな音楽好きも俺たちみたいなアホも唸らせるやり方を覚えた米津玄師が、これからアルバム曲とかカップリング曲じゃなくて「ノンタイアップのシングル」とかでリミッター外して好き勝手したら本当にバケモンみたいな曲を作りそうで怖いし、なにより一番の恐怖は、いつの間にか米津玄師の作るそんな音楽を心の底から欲してる俺…

米津玄師こわい

(kansou「米津玄師『Lemon』聴いて「こわい」と思った」より)