市販薬だが、買うまでがいろいろとややこしい薬

「alli(アライ)」とは、肥満治療薬オルリスタットを主成分とする医薬製品である。

米製薬会社であるグラクソ・スミスクラインによってアメリカで販売されていた「alli」。2023年に2月に厚生労働省から承認を受けた大正製薬が、この春から日本国内での販売を開始した。

オルリスタットは、食事で摂った脂肪の吸収を抑制することで、体重を減少させる効果のある薬だ。

具体的には、腸内で脂肪を分解するリパーゼという酵素の働きを阻害することにより、食事で摂取した脂肪の約25%が、体内に吸収されず排出されるのだとか。

脂肪のカットによりカロリー摂取量が減少するため、開発国であるアメリカの治験では、1年間の投与により成人の60%に5%の体重減少が見られたという。

つまり「alli」とは、肥満の元凶である脂肪分を一定の範囲内で食べなかったと同然にしてくれる、おデブにとっては夢のような薬なのである。

肥満大国・アメリカでは以前から販売され、その効果と安全性が実証されていることもあり、日本に導入された際には、医師の処方を必要としない市販薬として提供されることになった。

だが“要指導医薬品”とされ、薬剤師の指導が必須という取り扱いになっている。ここがちょっと面倒くさくて、この薬の存在を知りつつ二の足を踏む要因になっているのではないかと思う。

「alli」は薬剤師がいる薬局・薬店でも、条件に当てはまらないと買うことはできない。

多岐にわたる条件の詳細はググっていただきたいが、ざっくり言うと、男性85cm以上、女性90cm以上と腹部が太めで、BMIが25以上35未満の人。かつ「生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る」とされている。

購入する際は薬剤師と面談し、最低でも一ヶ月前から自主的に取っていた「食事・運動の内容、体重・腹囲の変化」の記録を提示する必要がある。

しかも「alli」は肥満治療薬であるにもかかわらず、肥満による健康障害がすでにある人は対象外。

ややこしい話だが、肥満に伴う高血圧、糖尿病、心血管疾患、痛風などの病気が発生し、治療中の人は飲んではいけないのである。

ね、面倒くさいでしょ?

(生活習慣改善の取り組みを行なっている場合に限る)の注意書き
(生活習慣改善の取り組みを行なっている場合に限る)の注意書き

僕の場合、半年ほど前に過去最高体重を記録し、さすがにヤバいと思ったため、自主的に食事制限と運動促進をはじめていた。

その効果が出て、体重を4〜5kg落とすことに成功。

その間の体重変化や食事記録もしっかり取っていたし、肥満による健康障害もまだ起こっていない。

ということで、たまたま「alli」に適応していたため、ここで一気にダイエットにターボをかけようと思い、人聞き悪い言い方をすると“ドーピング”に手を染めることにしたのである。

せっかく薬なしでダイエットに成功しつつあるのだから、そのまま生活習慣の改善だけで貫けばと思われるかもしれないが、実は4〜5kg落ちたところで、やっていることは変わらないのに体重の減少傾向がぴたりと止まり、いわゆる「ダイエット停滞期」に入っていたので渡りに船だった。

それなのに、「alli」を飲んでも停滞から抜け出せないなんて!