家族経営はメリットとデメリットが両極端
家族経営の会社にはほかにどんな特徴があるのだろうか。
「家族経営の会社は経営において、いい面と悪い面を両極端に備えていることが多いんです。いい面でいえば、経営者の意思決定が早く、計画した経営方針をすぐに実現できることが挙げられます。
悪い面としては、企業を私物化し経営者が保身に走る傾向があるので、企業としての新たな挑戦やイノベーションを起こせず、業界での競争に負けてしまう可能性が高いということが挙げられます。
またほかのデメリットとして挙げられるのが、自分たちの会社のルールを客観視し、組織の行動を抑制するガバナンスの機能が十分に働いていないこと。それが原因で、組織の腐敗や経営における問題点が明るみになりにくくなるのです。
そうした腐敗や問題点が何らかの不祥事で明るみになると、行政指導を受けたり、会社としての評判が一気に下がって経営を続けることが困難になってしまったりするというリスクがあります」
今回話題となった、いなば食品の件のように、ある程度名の知れた企業であれば、組織としての問題点が世間に公になったときに大きく取り上げられるが、中小企業の場合は労働組合がないところも多く、組織としてのそもそもの腐敗や問題点が見過ごされてしまっているというケースもあるかもしれない。