フランスでおにぎりが人気の理由はアニメ?
鈴木 私が最近危惧しているのが、今、世界的に日本食が大ブームとなっているんですけど、これ、変な消費のされ方をして終わってしまうのは嫌だなと。
例えば寿司職人が海外で高給を取れる、みたいなニュースは最近よく目にしますが、本当に日本の職人さんが主体となって日本の伝統的な寿司を提供しているならまだしも、それが他国資本のお店だったらモヤモヤしませんか?
そこでオリジナルと違うサービスが提供され、本来と異なった形で消費されて伝わるのは何か違う。きちんと日本人や、日本の地方の方々が携わるべきだという想いがずっとあるんです。
なので、日本発の食材や商材の海外展開というのは、我々もすごく力を入れていきたい分野です。
守時 すごい。めざす世界観は同じですね。この構想は、どのへんまで進んでいらっしゃいますか?
鈴木 ブランドをつくるには、ヨーロッパがいいのではと私は思っていて。日本の自治体や地域とヨーロッパが直接つながる場所として、現地のお店の棚を借りて直接現地の方に販売する、みたいなことはもう始めています。
たとえば、2023年にパリでオープンした「iRASSHAi(イラッシャイ)」という日本食を扱うコンセプトストアがあるのですが、パリ在住の日本人はもちろん、日本食が好きなフランス人たちに大人気で、いつも混み合っています。
このような海外のお店で、日本の地方の特産品を販売していく。パリでヒットしたらそれはブランドになって、アメリカやシンガポールに広がっていきます。バルセロナだとラテン語圏で伸びていくイメージです。
守時 うちの強みは、いろんな地域でいろんな商品の開発をしたりプロモーションをしていることなので、何万っていう事業者さんと濃密な関係が築けているんですね。売れるものはめっちゃあると思います。
ふるさと納税でも工芸品部門で1位になった土佐包丁なんて、海外でウケそう。それこそ、パリで開催したジャパンエキスポでもめっちゃ人気になっていたし……。
鈴木 ああいうイベントに行くと、日本のポテンシャルを感じますよね。たとえば今、ライスボール、おにぎりですね、これが世界的に人気になっていて、パリだと行列店ができているほどで、そこではおにぎりが1個500円以上で売られてたりする。
これは外国人の方々が日本のアニメでおにぎりを食べるシーンを見た体験も強く影響していると思います。
守時 ですねえ。ふだん、プライドの塊みたいなフランス人も、こと話題がアニメに及ぶと日本人超絶リスペクトみたいな雰囲気になったりする(笑)。
鈴木 ですです(笑)。そうした文化的な強みを追い風にしながら、“世界で戦える地方”をどうつくっていくかというのは、可能性とやりがいを感じる分野ですね。
やっぱり外へ広がっていくことによって産業が伸びていくと、今度は外国人の方々がそれをおもしろがってくれたりするので。そういう流れをつくりたいと思ってやっています。