飲み、女の子を紹介してやる…遊びの誘いは山ほどきた

――冒頭で「やましい考えを持った大人たちが甘い誘いをしてくるのは確かだ」と言ってましたが、どんな誘いがありましたか。

いろいろありました。出会い喫茶の看板に顔と名前を出すだけで月50万円だとか。あと詳しくは言えないですが、反社会的な人から「飲みに連れて行ってあげるよ」「女の子紹介するよ」という遊びの誘いも山ほどきました。芸能界を辞めらすぐにAV男優にならないかという誘いもきましたね。もちろんそれらはすべて断りました。

若かりし頃の黒田氏(本人提供)
若かりし頃の黒田氏(本人提供)

――なぜ、断ったのでしょうか。
        
それは先ほど説明した、運転席に座る俳優としての黒田と、助手席の黒田がそれを許さなかったからです。何より僕は野島伸司さん脚本のドラマや山田洋次監督の作品、演劇では坂東玉三郎さんなど、諸先輩たちの作品に出演させていただきました。僕が悪に手を染めればその方々の作品さえも傷をつけることになる。また、作品の再放送さえ危ぶまれる。それは自分はできないし、したくないからです。

――子役出身者のなかには、途中で転落する方もいますが、生き残る方との違いはなんだと思いますか。

子役って、物心つく前から親の意思でなっているケースが多い。だからその親御さんには、芸能界で生きること以外の選択肢を示したり、一般的な道徳などを教育してあげることが求められると思います。そしてその教えを本人がどう受け取り、いかに道を切り拓いていくかが大事なんです。「他にも選択肢があるなかで自分はこれで生きていく」と考える人間と「これをやっときゃいいや」と考える人間ではだいぶ違うと思います。

――元子役が逮捕された今回の那須の事件のニュースを見て、何を思われましたか?

元子役でなくとも悪いことをする人はいるし、そうじゃなくても悪いことをする人はいる。でもこうして「元子役が転落した」などと報道されると、今現在、子役として頑張っている子たちにとってもいい影響はないですよね。
僕もさんざん、「転落」と報道されましたけど、転落じゃなくて「転職」です。ネット民には勝手に「ハイパーメディアフリーター」なんて名づけられましたけど。

映画「ぼくが命をいただいた3日間」で主演をつとめた若山容疑者
映画「ぼくが命をいただいた3日間」で主演をつとめた若山容疑者