出馬の経緯は

――そもそも、なぜ今回出馬しようと思ったのですか?

出馬を決めたのは今年1月です。実は昨年末に私の母が他界しました。先ほど申し上げた通り私の実家は居酒屋なのですが、葬儀が終わって間もない時期に店の手伝いに行くと、親父が母の生前と変わらない様子で接客をしていたんです。

実家の居酒屋の店内で取材に応じる須藤氏
実家の居酒屋の店内で取材に応じる須藤氏

――感傷に浸っているヒマはなかったと。

はい。うちの両親は仲がよく、親父としても50年連れ添った伴侶を亡くして本当に辛かったと思います。それでも、死に際に母から「パパ、ありがとうね」「一緒にいれて楽しかった」といわれ、そこで「母との思い出が詰まったこの店を潰すわけにはいかない」と思って店を開けようと考えたそうです。

――カッコいい覚悟ですね。

その親父の姿を見て、自分も店をサポートするために店を訪れる機会が増えたのですが、そんな折、私の地元であり店を構える江東区の選挙区(東京15区)で当選した衆議院議員が逮捕されました。そのため、お客さんから「江東区をなんとかしてくれ」という声をものすごくもらったんです。そこで「両親が大切にしている店、そして江東区の人たちを守りたい」という意識がどんどん芽生えていきました。
 

――ただ、参議院議員のバッジを外す必要はなかったように思いますが。

もともと、「いつかは地元から衆議院選挙に出馬したい」という思いがありました。また、最近は「与党もダメ、野党もダメ」という国民の認識が強く、この行き詰まった空気感を払拭したいと考えていました。

――いろいろな考えや気持ちを持っていた中で、東京15区補選が決まったわけですね。

格闘家時代は試合中に「ここは勝負に出ないと絶対後悔するな」という“勝負ドキ”を見極めながら戦っていました。そして、今がまさに私が当選すれば今後の政治・選挙の流れを変えられる勝負ドキと感じて出馬を決めました。