「上の子ども2人のことを一番心配しています」
これに対し、弁護側はまず健一容疑者が意見陳述に立った。不安げに「立ってですか座ってですか……」と小声で問う健一容疑者に、女性判事が「座ってでいいです」と促すと、座って口ごもりながら語り始めた。
「私は今まで精神科への通院歴や入院歴、精神薬などを受けた経験はありません。精神科で精神病と診断されたこともありません。2016年に一度だけ保健士から言われ妻と一緒に受診したことがありますが、妻は適応障害、不安障害と診断され、障がい者手帳を渡されましたが、私は特に診断も受けず薬を受けていません。
そのような中で簡易鑑定もなく、鑑定留置が決まりました。鑑定留置が決まってから3週間ですが、精神鑑定医の先生に診られたのは3月22日の一度で、その中でも先生から精神的に健康だと思われると言われています。3か月間という期間も疑問が残ります。鑑定留置によって会社の関係者の方々に迷惑をかけてしまったことを申し訳なく思っています」
続いて代理人がこう続けた。
「既往歴、入院歴もなく、そもそも鑑定留置が必要なのか疑問が残る。簡易鑑定も行われず鑑定留置が決定し、3ヶ月身体拘束が継続されている。弁護士としては本件鑑定留置に関しては取り消されるべき」
閉廷後に記者団の囲み取材に応じた柿原弁護士は、こう訴えた。
「通常、(子どもを)認可保育園に入園させるには就労していることが条件です。しかし、専業主婦の志保さんに精神的な病気があれば入園可能ということで、2016年に保健士さんの勧めで精神科を受診しました。
志保さんは不安障害、適応障害等の診断を受け、障がい者手帳の交付を受けましたが、この際、医師の診断を受けた健一さんには特に精神的な疾患はないと、診断書も出ませんでした」
柿原弁護士は、こうした背景を無視して事前の簡易鑑定や拘留中に医師の診察もなく、地検が3ヶ月の鑑定留置を求め、地裁がそれを認める決定を出したことを「不当」として、こう続けた。
「今回3月18日に鑑定留置の決定があったのち、鑑定医の診察、面談が3月22日に一度ありましたが、それ以降は何もない。そのようなスケジュールで3ヶ月という(鑑定留置の)期間が本当に最小限の期間なのか疑問に思います。
3月22日の鑑定医にも、『精神的には健康ですね』と健一さんは診断されたとおっしゃっています。最後に(健一さん)本人は、このような鑑定留置という長い身柄拘束においてよりいっそう会社関係、関係者の方にご迷惑をかけてとても申し訳ない、心苦しい思いです、と陳述しました」
また、ここ最近の健一容疑者の様子についてはこう語った。
「今は取り調べもストップしているので落ち着いて過ごしてはいます。上の子ども2人のことを一番心配しています。お子さんたちはまだ児童相談所の施設にいます。美輝ちゃん殺害に関しては、一貫して無実を主張していることは変わらないですね。お姉さん(の事件)に関しては、もし起訴されれば起訴後の公判で話すという弁護方針にしています」