注意をするとネコの鳴き声がピタっとやんだ
アパートの大家の親族が、引っ越してきた当初の母娘についてこう振り返った。
「10年くらい前のことだったと記憶しています。北海道から2人で出てきたとのことで、当時はお母さんも志保さんも介護職の夜勤をしていると聞いていました。実際に2人とも夜は家にいないようでした。
2人が住み始めた直後から夜中にネコの鳴き声がひどくなったので様子を見に行くと、お風呂場の格子のついた窓から外を覗くようにしながら1匹のネコが鳴いていました。住宅街だし、ご近所迷惑だろうと思い、後日注意しに行きました。
母親が『ペット可と聞いています』と言うので『飼うのは構いませんが、周りの方にも配慮して飼ってください』と伝えると、その後はネコの鳴き声はピタっとやみました。お母さんは普通の方という印象ですが、志保さんは見た目こそ、ごく普通のお嬢さんという感じでしたが、挨拶もしないし、あまり人と関わりたくないタイプの方に見えました」
入居して数ヵ月経つころには、アパートで志保容疑者の姿は一切見かけなくなり、母親だけが住んでいたようだ。大家の親族が続ける。
「住み始めてから約1年が経ったころにお母さんがウチを訪ねてきました。『乳ガンになってしまい仕事もできなくなるので、家賃の支払いが滞ってしまうかもしれません』と家賃の譲歩を求める相談でした。
家賃は4万5000円ほどで、無理せず治療に専念してほしいと伝えましたが、実際にはその後も滞ることなく家賃は支払われていました。ちょうどその頃、志保さんの姿をまた見かけるようになりました」
志保容疑者は当時、体を密着させる“夜の接客業”をしていたと思われる。店で“太客”だった健一容疑者と結婚、その後は健一容疑者を伴ってアパートを頻繁に訪れるようになった。
「お母さんの様子が心配だったんだと思います。その頃、お母さんは介護職を辞め、道路で交通整理をする警備員の仕事をしていました。市内で何度かお仕事をしてるのを見かけましたから」(大家の親族)