「巨人入団」が実現しても、それは理にかなった選択

しかし今回、筒香は古巣のDeNAではなく、巨人へ入団するのでは……と報道されている。現段階での交渉過程は不明だが、これにDeNAファンがネガティブな反応をすること自体は理解できる。

特に、筒香の場合は自身で権利を取得したFAではなく、球団が許可をしたうえでのポスティングシステムでメジャー移籍を果たしている。DeNAファンからすれば、「メジャーに送り出した」という感覚も強いはずだ。また、メジャー移籍後も球団はことあるごとに「いつでも迎え入れる準備ができている」ことを公言し続けてきた。そのうえで、アメリカでのプレーを優先する筒香の意思を尊重して「待つ」という選択をしたのも事実だ。

サンフランシスコ・ジャイアンツ時代の筒香 写真:AP/アフロ
サンフランシスコ・ジャイアンツ時代の筒香 写真:AP/アフロ

ただ、一方で現在のチーム状況を鑑みると、筒香のDeNA復帰がむずかしいことも理解はできる。今季はルーキーの度会隆輝が開幕スタメンの座を掴み、昨季ブレイクした関根大気も絶好調。首位打者経験のある佐野恵太もおり、外野レギュラーは “埋まっている”状況だ。一、三塁にも宮﨑敏郎とオースティンがいるため、たとえ入団してもレギュラーが確約される状況ではない。

筒香は現在32歳。老け込むにはまだ早い。そう考えれば、より出場機会が得られるであろう「巨人入団」という選択をしても、それは理にかなっているといえる。

ただ、「理にかなっている」からと言って納得できるか……といわれると、そう単純ではないのが「ファン心理」のむずかしいところ。交渉過程が不明なぶん、どうしてもさまざまな憶測を呼ぶことになるし、古巣のファンからすれば「裏切られた」というネガティブな感情が生まれかねない。

個人的な心情をいえば、筒香にはアメリカで苦しんだぶん、日本では特定球団だけでなく、すべてのファンに歓迎される形でプレーして欲しい。今後それを実現するためには、たとえばポスティング移籍した選手が日本に復帰する際に、一定のルールを設けることも必要な気がする。