「未成年を口説くなんて、そもそもさほど難しくない」

話を戻す。3月から4月にかけての、高校を卒業し、進学や就職をするまでの1か月間。この「何者でもない空白期間」のLJKは、彼ら「向上心モンスター」の格好の餌食となる。彼女たちは、新しいことへの期待感から解放的になり、「年上の男性」というだけで相手が魅力的に見えてしまう時期だ。

このすれていない状態の女子こそ、経験人数を増やしたいナンパ師界隈では、特に狙い目とされている。

そのためX上では〈合法LJKが大量に湧いてる〉〈上京したてのすれてない子やLJKを狙え!〉〈LJKを即るにはインスタナンパだ〉〈LJKまじすれてなくて可愛いから大学生になる前に即らないともったいない〉といったポストが散見される。ちなみに「即る」とは、ナンパした女性とそのまま「即」ホテルまで行くことの隠語である。

ネットの恐ろしさは同じ思考の人間たちで集まれることで、そのうちに感覚が麻痺してしまうところにある。

ナンパ師が多く生息する渋谷 写真/Shutterstock.
ナンパ師が多く生息する渋谷 写真/Shutterstock.

未成年との性交渉を推奨するポストや、実際に行動に移しているルポポストを見続けていくうちに、それが問題のないものに思えてきてしまう。挙句、みんなやっているしな……と、敷居が低くなり「より若い子とセックスして、ほかの男たちにすごいと思われたい」という願望まで芽生えてしまう。

特に自己肯定感の低い男性は、ここで結果を出すことに優越感やアイデンティティを見出す。しかし、年齢を重ねた男性が未成年の女性を口説くなんて、みんな節度と常識があるからやっていないだけで、そもそもさほど難しいことではない。

年上フィルターがかかっているため、普通のデートでも「大人の男性カッコいい」になるし、女子の容姿を褒め、奢ってあげるだけで「周りの男子とは違う! それに大人の男性に口説かれるくらい自分は魅力的なんだ! カッコいい!」となるからだ。

勤務先や年収、ルックスが少々微妙でも、「年上である」ということでカバーされるマジック効果だ。

女性に若さを求める男性は、もちろん全員ではないが、女性にモテず、恋愛面以外でもパッとしない人生を歩んできた者が多い。だからこそあるタイミングで一念発起し、今まで無頓着だった外見やトークを磨き、女性を口説きはじめる。その手段として、ナンパに行き着く。

その結果、人生が好転する男性も数多くいたりする。問題は、若さが正義、関係を持つことが絶対、という思考がどんどん強くなると、加害性が増し、女性を見下し変にこじれてしまう男性が少なくない点にある。彼らのその先にはミソジニー的思考が待っている。