自由を求めてバイトを始めたはずがいつの間にか…
25歳から34歳という年齢は自身の今後のキャリアを左右する大事な時期でもあるが、非正規雇用で働くことを選んだ若者たちのほとんどは、学校を卒業していきなり非正規雇用を選んだわけではないと今野氏は言う。
「最初は正社員として就職したものの、過酷な環境に心身ともに力尽きて退職し、非正規雇用に流れ着くというケースがよくある。
そして実は、そういったタイプの若者たちは、最終的には再び正規雇用での就職を目指すという人が多いのです。ちなみにそれは、『フリーター』という言葉が流行した1990年代に非正規雇用を選んだ当時の若者たちと傾向が似ており、同じようなキャリアをなぞっているとも言えるかもしれません」
非正規雇用を選んだ若者でも、やはりいずれは正社員に、という思いを抱く人が多いのはなぜか。それは、非正規雇用には自由気ままに働けるといったメリットがある一方、デメリットも感じるようになるからなのだろうか。
「非正規雇用のデメリットは費やした人生の時間が将来のキャリアに繋がりにくいことや、賃金が低いことなどさまざまあります。そのなかでも意外と盲点なのが、いつの間にかバイトリーダーのようなポジションを任せられて責任が重くなり、本来求めていた自由気ままな働き方ができなくなるということです。
業種によりまちまちですが、実際に人手不足だからといきなりシフトを増やされたり、バイトなのに正社員並みの労働を求められたりするケースはかなり多くあります。非正規雇用のイメージと実情は全く異なることも多々あるということには注意が必要でしょう」
たしかにそれでは本末転倒だが、これについてはデメリットというより、メリットがいつの間にか消失してしまったということだろう。
非正規雇用の若者が正社員での就職に再びチャレンジしようとする背景には、自由に働けるはずの「フリーター」を実際にやってみたら、勤務歴が長くなるにつれ実情が異なっていき、正規雇用の魅力に再び気付くということもあるのかもしれない。