団地に引っ越してくるのも中国人ばかり

中国国家統計局の公表データによると、2023年6月時点での都市部における16~24歳の失業率は21.3%で、中国では若年層の就職難が浮き彫りとなっている。

さらにこの男性は、自分自身の仕事においても「日本にきてから選択肢が広がった」と語る。

「もともと住んでいたのは、中国の東北部にある遼寧省で、上海や北京といった都市部に比べると産業もかなり遅れていました。仕事の求人も少ないし、就職とともに都市部に出てしまう人も多くて過疎化が進んでいるんです。

その点、日本では中国人の知り合いづてにすぐに就職が決まったし、仕事には困っていません。ここである程度の仕事を覚えたら、もうちょっと給料が高い会社に転職しようと思っています」

“ガチ中華”が軒を連ねる竹ノ塚の街並み(撮影/集英社オンライン)
“ガチ中華”が軒を連ねる竹ノ塚の街並み(撮影/集英社オンライン)

 今からおよそ40年前に日本に移り住んだという竹ノ塚在住の70代の男性も、近年の竹ノ塚の人気ぶりをこう分析する。

 

「近年は富裕層の中国人が日本の不動産を買いあさっている報道をよく目にしますが、竹ノ塚が人気なのは別の理由です。今の中国は家賃も物価も高いから、普通の生活を送るのさえ難しい。

一方、日本はみんな平等に教育を受けられるし、病院もすぐに受診できる環境が整っているから生活もしやすい。おまけに竹ノ塚なら家賃も安くて都心にもアクセスしやすいから、若い家族を中心に増えているんです」

そんな理由から足立区に住む中国人は10年前から約2倍と増えている。竹ノ塚駅近くの団地に住む50代の女性も、「ここ何年かは、若い中国人の夫婦くらいしかこの団地に引っ越してきていない」と語る。

竹ノ塚の団地(※写真はイメージです。撮影/集英社オンライン)
竹ノ塚の団地(※写真はイメージです。撮影/集英社オンライン)

 「この団地に中国人が増えたのは、今から7、8年前くらいでしょうか。それも20~30代の若いファミリー層ばかり。日本人の一人暮らしの高齢者が亡くなったり、介護施設に移り住むことになると、そこに若い中国人ファミリーが入居する感じです。

団地全体で見ると、今は7割が日本人の高齢者で、残り3割が中国人。ついこの間も、新しく中国人が引っ越してきましたし、これからもっと増えていくと思いますよ」